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「えっと……」
梓は黙ってしまった。この様子だと本当に脅されていたように見える。
本当に……?でもまだ確証はないから……
「まあいい。さっきのことは忘れろ。もし気づかれて何か言われたら俺に強引にされたと言えばいい」
本当は忘れてほしくない。でもさっきの行為で梓を傷つけることになるのなら、俺は引き下がる。
俺にとって一番大切なのはお前だから……
「そんなこと言ったら清水さんが悪者になるじゃん……俺から誘ったようなものなのに」
「それは俺のフェロモンというものに反応しただけだろ?お前の意思は関係ない。この件は終わりだ。今日はそのままここで寝ろ」
「はい……」
返事をすると梓はそのまま眠ってしまった。熱や発情のせい、いろんなことがあって疲れていたんだと思う。
「おやすみ……」
梓に布団をかぶせ、俺は部屋を出た。
「ハァ……」
ドアに背をつけながら大きなため息をつく。
ドッドッドッ……
心臓の音がうるさい。体に今も残ってる、梓のすべてが。梓が俺の全てを受け入れてくれたら、俺はどうなってしまうんだろう……
今の状態でこんなにも乱されてるんだ、もう冷静じゃいられなくなるだろう。
「あずさ……」
お前が好きだ。俺のものにしたい、そう思うくらい好きで好きでたまらない。
俺のこんな気持ちを知ったら幻滅するだろうし、『逃げたい』って思うかもしれない。
でも。
逃がしてやらない。クソ重いって思われてもいい。俺はおまえしかいらない。
時間が経ち、梓が深い眠りに落ちたのを確認して家に帰してやる。今日はまだ平日で、明日も授業あるだろうから。
本当は『休め』って言ってあげたいが、真面目な部分もある梓のことだから、『行く』って聞かないだろうし。
熱はほとんど下がったみたい。まだ微熱だが伊織からもらった薬が効いてるみたいで、すやすや眠っている。寝顔がすごく可愛い。
そんな梓をお姫様抱っこし、そのままリビングへ染谷を呼びに行った。
「染谷、車」
「かしこまりました」
染谷はずっと母親の話し相手になっていたらしい。ちょっとだけ疲れた顔をしていた。
理由作って断ればいいものを……母親の話は長い。だから俺は好きじゃない。
「あら、純ちゃん帰っちゃうの?せっかく来たんだし、梓くん熱あるんだから寝かせていったら?」
「熱はもう下がったみたいだ。こいつ、明日学校あるらしい。だから帰らせる」
「別にここから車で送ってあげれば済むじゃない。無理に連れて行ったらかわいそうよ?」
「なんでそんなに引き留めようとするんだ、母さん」
「だって寂しいんだもん。その子いなかったら、純ちゃんまたここから出ていくでしょ……それに梓くんとお話ししてみたかったし……」
泣きそうな顔で俺を見る母親。俺はため息をついた。
「それならまたここに連れてくるから。その時に話せばいいだろ?」
まだ連れてくるには時間が必要だとは思う。
でも。
そんなにかかるわけではないと思う。
「そ、うね……待ってる。ちゃんと純ちゃんが梓くんを連れてくるって」
「あぁ……」
俺も待ってる。いつか梓が俺の気持ちを受け入れてくれるまで。
俺は家を出て、車で梓の家に向かった。
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