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主導権を握ろうと動いた時だった。
「ご、めんなさい……恋人が……いるのにも関わらず……こんなことして……」
「…は?」
「も、もし……恋人さんとケンカして俺のせいで別れるようなことが……あったら……ごめん……なさい……」
急に俺から距離を取り、謝ってくる梓。
恋人?梓の?……いや、今の話からだと俺の恋人の話だよな……でも実際、俺には恋人がいない。
もしかして佐々木花恋?佐々木花恋と会ったところを見られた?
でもそれだったら今、そんなこと言う?
さっきまでは言わなかったってことは今、何かが起きた……?
梓の視界に俺と誰かが写ってる写真でも……
あ……
あたりを見回し、梓が言う恋人と思われる人を探していると、ベッドの近くに俺と千明が写っている写真を見つけた。
さっき少しだけ窓を開けていたせいで、挟まっていただけだったため、風で飛ばされたんだろう。
急激に冷える梓の体温。勘違いして罪悪感にかられたんだろう。
でも実際、俺は千明と別れている。だからそんなに困った顔をしなくてもいい。誤解を解こうと話そうとするが、聞いてくれる様子はない。
「あずさ」
「お、俺の言ったこと……気にしなくて……いいよ……だから……」
「あずさ!」
俺が少し声を荒げたせいで、ビクビク震えて今にも泣きそうになっている。
ごめん、そんな顔をさせて。
気を落ち着かせて梓に話す。
「俺はまだ何も言ってない。俺の話を聞かずに自己完結するつもりか?」
「だ、だって……」
不安そうに俺を見る。
話してあげたいけど、今の梓に話したら落ち着かせるために嘘をついたみたいに思われるのが嫌で。
「…ごめん。この写真の人のことはお前の発情状態が終わったときに話す。だから今は休め」
そう言っても梓の心はモヤモヤしてるみたいで、顔に出ている。
「おしえてほしい……」
「写真のことはまた後で」
「そっちじゃなくて……」
そっちじゃない……?……あぁ……
『好き』
梓が今にも消えそうなくらいな声で伝えてくれた気持ち。忘れない。そんな大切なこと。
本当は答えは決まってる。でもちゃんと伝えたい。梓が素の状態で。
だから少しだけ待っててな。
「その答えもまた後でな」
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