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荷物を運び入れて、部屋を片付けた。小夜の荷物をいれるスペースを俺が作り、小夜がその場所に綺麗に入れ込んでいく。昼近くなってくると床に転がっている荷物は無くなり、ほとんどが所定の位置が決められた。
「さーや、終わったかな?」
「うん、多分、全部しまえたと思う!」
「よし、メシと買い物に行こう!」
ルンバを起動させて、マンションを出た。
ショッピングモールへ向かう道すがら、車を停めメシを食べるために暖簾(のれん)をくぐる。
「引越しっていえば、蕎麦だろ?」
「ブフッ!ありがとう!」
俺は天ぷら付き定食、小夜はざる蕎麦に決めて早速いただく。2つある海老天を1つ小夜に分けた。
嬉しそうに頬張る姿が可愛い。
やっぱり天ぷら付きにするか迷ってたな?
------------※ ※ ※------------
わぁ!!
小夜が歓喜の声を上げた。
ショッピングモールに入っている食器屋に着いた。
ショッピングモール自体「こんなに大きいところ初めて!」とはしゃいでいたが、目当ての店に連れていくと、小夜も気に入ったらしく目がキラキラと輝いている。
「あ!みて、お茶碗!これ素敵だよね、風見さんはどっちが好き?・・・あ、お箸!・・・ふふ、お揃い。」
ぐいぐい上着の裾を引っ張ってお店の中を物色している。夢中になっている様子をみて、連れてきて良かったと思った。
「どうしよう、目移りして全然決められないッ」
絶望的!と眉を下げて訴えてくる小夜に吹き出してしまった。
「ブハッ!本当、小夜可愛いなぁ。・・・で、茶碗はどれが気に入ったんだっけ?」
吹き出した瞬間、ムムッと唇が突き出て、可愛いと言われた瞬間、ニコニコと笑顔になる。表情がくるくると変わる様子は見ていて飽きなかった。
10年前って俺もこんな感じだったのかな?・・・いや、俺はスレて汚れてたな、うん。
「俺が決めてもいい?」
迷っていると言われた茶碗を見比べ、尋ねると嬉しそうに頷かれた。
「そうしてくれると、嬉しい。」
そうやっていくつかの食器を選び、揃いの箸を購入して一旦車に戻る。荷物を置いて、フードコートへ向かった。
「何食べたい?クレープ、アイス、ドーナツ・・・かな?」
「どうしよう、これ、めっちゃ時間かかるやつ!」
不安げに見上げてきた頭を撫でて、食べたいものを回って探しておいでとリリースした。ピュン!と走り去った細い後ろ姿を眺めながら、風見は椅子に深く座り直した。
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