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1週間分の食材は、意外なほど多かった。それらを車に詰め込み、マンションへ戻った。集積場でゴミ出しの説明をして、エレベーターで上がった。
鍵を開けて、ふたりで顔を見合わせて一緒に言う。
「「ただいま。」」
扉をくぐり、テーブルに荷物を置く。小夜の腕を取って、深い深いキスをした。
ひとりでは立てなくなった小夜を抱き締めた。胸いっぱいに小夜の匂いを吸い込んでから言った。
「おかえり。」
「ふふ・・・おかえりなさい。」
ここがふたりの家になった。
------------※ ※ ※------------
小夜は食材を冷蔵庫に入れてから、コーヒーを淹れてくれた。手には今日買った、お揃いのマグカップ。
俺が黒で、小夜が青。
カップを選んだ時に、小夜が「同じだね。」と笑った。
何のことだろうと聞くと、初デートのときに自販機で買ったコーヒーの缶と同じだという。
あぁ、と俺も思い出した。
キムラヤのパンの時か。
あの日、あの時間。
触れたくても触れることが出来ない、友だちという関係だった。あの時食べたあんぱんの味は、片想いの味から、成就をした幸せの味へと変わった。
ふたりで並んで腰掛けながら、幸せを噛み締めていた。
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