アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
152
-
タクシーに乗せて放置しようとも思ったが、住んでいる住所を確認するためには、免許証などを確認する必要がある。女性の鞄を勝手に開くわけにもいかず、途方にくれた。
会社に誰か残っていたら澤田の住所を聞こうと、部署の直通に掛けてみるが誰も出ない。
勝手に携帯見るわけにもいかないし。
久しぶりに、心底困った。
近くなら麗(うらら)に助けてもらうんだが、あいにく実家だ。
そこまで考えて、頼れる女性を思い出した。早速、電話してみるとすぐに電話に出てくれた。
「良かった!小島さん、助けて欲しいんだ。いま何処?」
------------※ ※ ※------------
「本当に、すみません。酔い潰れてしまって放置するわけにもいかず。」
まだ会社にいた小島さんは、電話をしてから15分後に来てくれた。
「なんで、こんなに飲ませたの?」
「別に薦めちゃいませんよ。女性だから、自分の限界超えてまで飲むなんて、思ってなかったですから。」
肩を竦(すく)めた俺を、小島さんは心底残念そうに見た。
「・・・あなたもバカねぇ。引っかかるなんて、意味がわからないわ。」
「引っかかる?」
「そう。とにかく後は任せて。会計だけ済ませて帰ってちょうだい。」
小島さんから、シッシッと追い払われた。
「俺、運ばなくていいですか?小島さんじゃ運べないでしょ?」
「大丈夫よ。とっととカノジョのところに帰りなさい。」
後ろ髪を引かれつつ、小島さんが大丈夫というなら大丈夫なんだろうと、無理矢理納得させて店を出た。
------------※ ※ ※------------
「・・・澤田さん、起きてるんでしょ?」
ピクッと肩が揺れたのを見て、やっぱりね。と思った。
「既成事実でも作ろうと思ったんだろうけど、風見くんは無理よ。筋を通す人だから、据え膳だ!って食いつくようなバカじゃないわ。」
ゆっくりと、テーブルにうつ伏せになっていた澤田が起き上がった。
「・・・ディレクターと、どういうお付き合いされているんですか?」
ほーらね、きたきた。
「ただの上司と部下よ。私がマネージャーしてた時の新入社員くんだったから、色々知ってるだけ。」
「悔しいです。私の知らないリーダーを知ってて。」
くだらない。
「バカじゃないの?彼女でもないのに嫉妬するなんて、澤田さんは風見くんの何なわけ?・・・残念だけど、風見くんは澤田さんのことは対象外よ。諦めなさい。」
「わ・・・わからないじゃないですか!もしかしたら、今日、好きになってくれたかもしれないのにッ!」
わあっと泣きだされ、天を仰いだ。
面倒くさい。
「会計も済んでるし、酔い潰れてもないようだし?帰るわ。」
言い置いて立ち上がると「鬼ッ!悪魔ッ!」と罵られた。
「好きに呼んで。」
そういうとタクシー代を置いて帰った。
この貸しはデカイんだからね!と呼びつけた風見を思いながら。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
152 / 1523