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今日のメインはトンカツだ。
揚げたてを食べてもらいたいと小夜から可愛いことを言われ、最寄駅で連絡する約束をした。
約束を守ると、部屋に入った途端、油の香ばしい匂いと、お帰りなさいのハグが待っていた。
風見は、家庭的な雰囲気に感動しすぎて、嬉しさに、内心咽び泣いた。
ご飯よそうから、手を洗ってきてね。
そう言われ、ウキウキ気分で手洗いうがいをする。
「美味そ!」
「ふふ、上手に揚がってるといいんだけど。」
「早速食べていい?」
このトンカツの美味いことッ!
「小夜ッ!美味いッ!」
もう、この子は俺の胃袋まで満たしてくれる。煮物とかはちょっと甘めだが、疲れて帰ってきた時は、その甘めの味付けがクセになるし、卵焼きに至っては、すっかりしょっぱい派から甘い派へ変わってしまった。
絶妙な味付けをする小夜は、天才だと思う。
「ふふ、良かった。」
そして、このはにかむ笑顔にやられる!
小夜は間違いなく世界一だ!
「そういえば、今日ね、お隣さんと会ったんだよ。」
「お隣?」
「そう。4歳くらいの女の子が急に足に抱きついてきて『パパ』って言ってきたからびっくりした。」
一瞬、風見さんの隠し子かと思って焦っちゃった。
そう続けた小夜に罪は無い。
無いが、グサっときた。
身に覚えは、ある。
もちろん隣の奥様には手をつけていないが、最近は特定の彼女は作らず、寄ってきたらエッチしてリリースする生活をしていた。もちろん、避妊のためのゴムは付けてていたけれども、それも科学的に完璧ではないと知っている。
あぁ、俺の馬鹿・・・。
「ふ、ふぅん。」
「そしたらね、すぐにお母さんがやってきて、勘違いって分かったんだ。」
流石におれじゃないからね、アハハと続けた小夜に合わせて笑った。
「あははははー。(怖い。小夜が、怖い。)」
「?風見さん、お味噌汁のおかわりは?」
「いや、もういいかな。」
すっかり食欲がなくなった。盛られたメシを黙々と食べることに専念することにした。
はぁ。身から出た錆・・・まぁ、俺の子じゃなかった訳だけど。
「そういえば、16日って何か予定入ってる?」
「16?・・・日曜だね?もちろん何も無いよ。」
もちろん何も無いと言われて苦笑いした。
友だちがこっちにいないから仕方がないのかもしれないが、友だちが出来る環境を奪った自覚はある。
小夜は毎日まっすぐ帰ってきて、土日はずっと一緒だ。
友だちは必要だ。
恋人には言えない事を相談したり、なにかを一緒に喜びあったり。
だが、俺が代わりに作ってあげるわけにもいかない。
なかなか難しい、今後の課題だった。
「妹の旦那さんが帰ってくるんだ。両親は出掛けて居ないんだけど、妹夫婦には小夜の事を紹介したくて。」
「紹介って・・・?」
友だちとして?まさか、恋人として?そんな心の声が聞こえてきた。
「恋人として。麗(うらら)には、この前帰った時に、男性と付き合ってることは言ってる。だから、大丈夫だよ。」
小夜は泣きそうな顔になって、椅子から立ち上がった。俺が両手を広げると、胸に飛び込んできた。
「・・・ありがと。」
膝の上に座らせて、キスをした。
「ふふっ・・・油でベタベタになっちゃったね。」
ぬらりと光る唇を、親指で拭ってくれる。
「・・・小夜、先に食べてしまおうか。(俺の体が)保たない。」
無自覚エロの恋人を持つと苦労する。
風見は残りのご飯をかきこんだ。
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