アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
189
-
それから、みこちゃんの情報を教えてもらった。
山崎美湖、4歳。B型。
小学校の近くの幼稚園へ通っておりお絵かきが好きだという。食物アレルギー無し。
父親のことが大好きで、父親が休みの日にはベッタリだったらしい。
「背格好・・・雰囲気が似ているんです。だから、あなたを父親だと勘違いしたんだと思います。」
美湖ちゃんの事を報告し合うため、交換日誌をつけることにした。
「お母さん、これからおれは食事を作ります。作り終わるまでの間に一度家に帰って、楽な服装になってください。お茶碗が見つかるようでしたら、2人分持ってきてくださいますか?」
そう言って、一旦家に帰ってもらった。
お米を研ぎ、4人分の食事を準備する。
と、風見さんが背中から抱きついてきた。
手を止めて、体を向けた。互いに抱きしめ合い、ほっと息をついた。
「・・・変わってくれるかな。」
「変わってくれるさ。」
「・・・ありがと。」
「小夜がいなければ、俺は相談所に通報しか出来なかった。俺の方こそ、ありがとう。」
触れるだけのキスをして、食事作りを再開した。
4歳児がどれだけの量を食べれるのかわからないが、食べれるだけ食べてもらおうと思う。
「・・・おはよう、起きたんだね。」
風見さんの声に振り向くと、目を擦りながら美湖ちゃんが歩いてきていた。
「パパ、おしっこー。」
すっかり美湖ちゃんの中で、おれはパパになってしまったらしい。甘えて手を伸ばしてきた。
「美湖ちゃん、俺と一緒に行こうか。」
食事を作っているおれをみて、風見さんが美湖ちゃんを抱っこしてトイレに連れて行ってくれた。
「ママは?」
「いまお着替えしてるから、もうすぐ来るよ。良い子で待ってようね。」
トイレの方から聞こえてくる会話に、ほのぼのとする。ちょうど卵焼きを巻き終えたところで、母親が入ってきた。
「ママー!!」
トイレから出たところで出会えた美湖ちゃんは、嬉しそうな声を上げている。
抱っこされて中に入ってきた。幸せそうにお母さんに頬を擦りつけている。
「ちょうど出来たところでした。お茶碗ありました?」
はい、と手渡されたお茶碗は猫の柄が付いた可愛いもので、美湖ちゃんのお気に入りだったのだそうだ。
「恥ずかしい話、ずっと使ってあげれてなくて。可哀想な事をしました。」
恥じ入るように俯くお母さんに、安心させるように微笑んだ。
「大丈夫。これから使ってあげられるようになりますから。」
テーブルに4人分の朝食を並べた。
「美湖ちゃん、いただきます言って。」
「てをあわせてください、いただきます。」
「「「いただきます。」」」
4人で笑い合いながら食卓を囲む。
美湖ちゃんは、美味しい美味しいと言って、卵焼きを3つも食べた。タコさんウインナーと、カニさんウインナーを使った美湖ちゃん劇場が始まって、最後は風見さんからカニさんウインナーを奪われるという結末に、ブーッと膨れながらも、終始楽しそうに食べていた。
お母さんも涙を浮かべながら、楽しそうな美湖ちゃんを見つめている。
きっと、急にいなくなった裏切ったご主人のことや、今後の生活の不安で身動きが取れなくなっていただけなのだ。だから、美湖ちゃんと一緒に過ごせる昼間のお仕事が見つかり、将来の不安がなくなれば、立て直せるはずなのだ。
「美湖、よく聞いて欲しいの。今日ね、ママ、お家の片付けをしようと思うの。美湖はその間、このお家にいて欲しいんだけど、できるかな?」
「ママひとりでおかたずけするの?」
「おじさんもいっしょにおてつだいするから、だいじょうぶだよ。」
風見さんが手伝いを買って出た。
母親は遠慮したが、ゴミを集積場所に持っていく係になりますから、と言って納得させた。
「おれと一緒にいようね。」
そういうと美湖ちゃんは抱きついてきた。
女性ホルモン分泌しそう・・・。
庇護欲が出てきて、こうやって甘えられると嬉しくて堪らない。
食器をサッと片付けると、お絵かきを始めた。うちにあるのはレポート用紙とボールペンくらいだが、美湖ちゃんのお家にはクレヨンがあるらしい。
「でもね、どっかいっちゃった。」
あの惨状では、なかなか見つからないだろう。
何をして遊んでいたのか聞いてみると、ゴミを使って積み木をしていたらしい。
美湖ちゃんの話を聞きながら、睡魔に襲われた。
昨日一睡もしていないせいか、眠くて仕方がなかった。ベッドに寝転がって絵を描いていたから、余計眠くなって、いつの間にか寝てしまっていた。
後から休憩で帰ってきた風見さんから、美湖ちゃんを抱きしめて寝てたからビックリしたよと笑われた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
189 / 1523