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195 2018年9月10日
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「おはようございます!杉さん、カレシさん!」
毎日の生活で変わったことがいくつかある。朝、美湖ちゃんたち4人で朝メシを食べるようになったこと。
撃退した女子高生から、俺まで挨拶されるようになったこと。
ちょっとずつ、俺と小夜を囲む環境が変わる。それの変化は、とても嬉しい事だった。
ともすれば、嫌悪されてもおかしくない男同士の俺たちが、社会に溶け込み受け入れてもらえる。
例え僅かな人数であったとしても、貴重な人的財産で。
俺は別に、この関係を誰に何を言われても別段痛くも痒くもないが、小夜は恐らく潰れてしまう。だからこそ、
「良かったらアドレス交換してください。」と女子高生に言われた時も、小夜に交換を許可した。
この年下の女子高生も、きっと小夜の味方になってくれる友だちのひとりになることを期待して。
------------※ ※ ※------------
「どうしよう、進路の相談されちゃった。おれのほうが相談したいくらいなのに。」
そう、困った顔で。でも嬉しそうに話してくる小夜は、可愛い。
どら、みせてごらん?と履歴を見せてもらうと、将来への不安が切々と書かれていた。
「高校生の時ってこんな事考えてたかなぁ?」
「うーん、おれは教師になるって目標があったから、あんまり悩んでないんだよね。だから今、迷走してるけど。」
ふふ、迷走してくれてたから出逢えた。
「うーん、大学ってある程度のその先の就職先が切り分けられるから怖いっちゃ怖いけど。やりたい事ってなんなんだろうね。」
仕事の種類はたくさんある。
モノを企画したいのか
モノを作りたいのか
モノを売りたいのか
モノについて使い方を説明したいのか
モノを売っている人の成績を管理したいのか
それらの人の労務管理したいのか
人を助けたいのか
害を成すものを根絶したいのか
まだ学生のうちで進路を決めないといけないことは、残酷だと思う。
仕事の種類はたくさんあって、学生のうちに知ることのできる仕事は、ほんの僅かだ。社会に出て、こういう仕事があるんだと驚いたことは多い。
選んだ道が、彼女にとって間違いだったとしても、それがわかるのは先の未来だ。選択肢はたくさんあるのに、その選択肢自体を知らないというのは、可哀想だなと思う。
進路指導には、一般の社会人から広く募集をしてどういう会社が世の中にあり、どういう仕事をしているのか沢山のケースを入れ替わりで教えた方が良いと思っている。
しかし進路指導をしている教師も色んな企業をまわり、頭を下げて推薦枠を取ってきていることも知っている。慣れない営業活動をして、自分の学校の生徒を売り込む。その苦労とはいかばかりか。
結局、彼女たちに必要なのは、様々な世界を知ってもらうことと、自分が人に生かされている現状を理解することだ。
とはいえ、まだ視野の狭い世界で理解しろというのはひどく酷な話だろう。
となれば、大人は大いに悩め。悩みまくれ。としか言えないのだ。その回答が適当な答えを返して、と憤慨されたとしても。
・・・可愛い寝顔を見せる美湖ちゃん。
この子もいずれ進路に、恋にと悩んでいくのだろう。
そんなことを思いつつ、小夜の肩を抱きしめながら俺は夜のニュースを眺めた。
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