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ヴェルサイユ宮殿,2~~ツアーのDVD
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現地でDVD発売され、瞬く間にソールドアウトとなった「ヴェルサイユ宮殿ツアー」
ダヴィッドは17世紀フランスの服飾に身にまとっていた。
アビアラ・フランセーズ(細身の上着)、ジレ(ヴェスト)、キュロット。バロックは服飾史の代表として「レース」「リボン」「ヒールのついた靴」。そして、長い巻き毛の鬘と剣。
剣を持ち歩くことが当時の正装でもあったのだ。
ダヴィッドはあまり、ゴテゴテした衣装はあまり好きではない。
バッハの肖像画のようなシンプルが望ましい。
それでも気高く端麗すぎるダヴィッドが着用すれば、違和感は全くない。
一歩間違うと、セリフを忘れたお笑い芸人の茶番劇になりかねない。
仕立て屋や衣裳担当は、ダヴィッドに丁寧に着付けていく。
「ダヴィッド、じっとしていて」
「ウイ」
「Bonjour,monsieur et madam. Je suis David Anglade!」
自己紹介をする。
「アングラード一族に所縁があった、王族の住まいだったヴェルサイユ宮殿の案内をします。天涯孤独だったジャン=ローラン・アングラードは、長年子宝に恵まれなかったジャン=バティスト・アングラードの養子として育てられました。厳しい修行を乗り越え、王室一家の料理人に上り詰めたほどです」
ダヴィッドは早速、鏡の間を案内していた。
「ここで、フランス革命が起きるまで、貴族や国王、王妃たちは身なりを整えていました。そして、壁画や天井まで本物の絵が飾られています。廊下は100%大理石、シャンデリアは100%クリスタルです」
無論、ヴェルサイユ宮殿は、北ウイング、南ウイング、センター、鏡の回廊まで隅々まで。
戦争の間、マリー・アントワネットとルイ16世の世紀のロイヤルウエディングが執り行われた礼拝堂やパイプオルガンも案内していく。
鏡の間を案内したとき、VTRとしてダヴィッドが華麗なるダンスを披露している。
センターに案内していくダヴィッド。古代ローマの著名人の胸像が飾ってある。
そして、国王と王妃の寝室を案内。
「国王夫婦は、ここでよい夢を見ていたことでしょう。ただ、マリー・アントワネット王妃にとっては、静かに過ごせていた、とは程遠かったんだと思います」
王の書斎、貴族たちの晩餐会が執り行われたテーブル、食器も展示されてある。
窓の外からは、広すぎる噴水庭園が見える。
マリー・アントワネット王妃の二十歳の誕生日のとき、盛大な花火大会も執り行われていた。
「フランス革命が起き、ヴァレンヌ事件で王政は廃止。しかし、ナポレオン・ボナパルトの時代になり、王政が復古。ナポレオンの戴冠式の絵画、ナポレオンが座っていた椅子もあります。ナポレオンの戴冠式は、ルーヴルでおなじみですが、こちらは別ヴァージョンですね」
ヴェルサイユ宮殿のツアーは一朝一夕では終わらない。
合間合間を縫っては撮影が執り行われていた。
*****
Les making of~
メイキングでは、ダヴィッドと一緒に衣裳の打ち合わせがある。
どの色が相応しいか、衣裳担当が考えていく。
あまり、派手な色合いは好きではないよう。
「コスプレ用の服は安っぽい。アングラード家の顔に泥を塗りかねないだろう」
だったら、300年ものの付き合いのある老舗仕立て屋が相応しい。
制作側はすぐ、打診をする。
「我々の出番だな」
後日、ダヴィッド用の衣装を完成。早速、着つけていく。
本当にぴったりだ。
周りは歓声が沸き起こる。
「Whoau!!」
立ち振る舞いも、ブルボン王朝の皇太子のごとき。
ルイ・シャルル王太子の成人した雰囲気を醸し出している。
映画のダンスシーンさながらの、ルイ14世ばりのダンスも少しだけ披露もする。
リセ時代、運動神経も学業も優秀だった。
「ダヴィッドは呑み込みが早い。ダンスも一発でマスターしていた」
髪の毛はエクステンション着用の予定だった。
しかし、外れる、というアクシデントも付きまとっていた。専用のヘアメイク担当も悩まされる弊害。
やむを得ず、鬘着用となった。無論、当時の正装である剣も一緒だった。
*********
「鬘をつけても、ダヴィッドなら違和感ないな」
ダヴィッドに連れられたヴェルサイユ宮殿。瑠衣は昨日のことのように思い出す。
瑠衣にとってはおとぎ話の世界だ。
「流石はアングラード一族の御曹司。ウチと育ちが違いすぎるよ」
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