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女の人
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佳那side
雅弘の帰りを待ちながら、雅弘の大好物の肉じゃがを作る。今日は友達が家に来るらしく、いつもよりも多め。これを食べれば少しは自分を見てくれるだろうか。
避けられているのは知ってる。何か気に食わなかったのかもしれない。テストはいい点数をキープしている。料理だって作ってる。洗濯もアイロンも。掃除も。何をすればいいのだろうか。
ピンポーンと部屋にチャイムが響くと、佳那は返事をしながら玄関のドアを開けた。
佳那「おかえり…………なさい………」
「おじゃまします」
雅弘の隣にいる綺麗な女性。上品で優美。
そっか、友達じゃない。
恋人なんだ…………
分かったんだ。
この家に僕が居ることが邪魔なんだって。
テーブルを挟んだ佳那の向かい側には女の人が座っている。女の名前は中川 愛華(なかがわ あいか)。
雅弘の隣は自分だと思っていた。
楽しそうに会話をして、自分には理解できない話題を話す。
分からない分からない。
聞きたくない。
知りたくない。
こんな楽しそうな雅弘を見るのは久しぶりである。
自然と箸へ視線がいき、黙々と料理を食べた。雅弘のために作った夕飯。
会話をシャットアウトすると、孤独だと自覚する。
雅弘「佳那くん!!」
佳那「……はい?」
雅弘「大丈夫?体調が悪そうだけど?」
佳那「………大丈夫です」
声が震えるし、目が熱いし。涙を堪える。誰か、誰か止めてくれ。見たくない。見たくないんだ。
その願い通り、雅弘のスマホのバイブで会話が切れた。連絡先が仕事関係のため、雅弘は廊下へと出ていった。雅弘がいない、中川と二人っきりになった佳那は気まずくて下を向いたままだ。
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