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キングの冒険12
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き、聞こえる!
物凄い低い地響きがッ!!
ーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ
マキの友達の女の子がいるから、営業スマイルでニッコリ笑いながら、笑顔に不自然な青筋がビキビキいって眉間にシワが寄ってるし、口角がヒクヒクしてる百目鬼。
普段の恐ろしい百目鬼を知ってる俺からすれば、これは非常に怖い状態だ。探偵事務所の客前で矢田が何かやらかして、その怒りを客前だからと我慢した百目鬼は後で増幅した怒りでキレる状態と同じ。今まさに、怒りが蓄積されて倍増してる。
百目鬼「みんなに死ぬほど心配かけて、マキなんか半泣きでお前を探したんだぞ…覚悟はできてるんだろうなぁ」
ヒィーーィィーーッーーーッ!!
こ、怖いよぉマキぃぃ!!
なんで百目鬼こんな怒ってるの?
助けてぇ!噛みつかれちゃうぅー!
マキぃぃ!マキぃぃ!
うわーん!助けてぇーミケぇぇ!!
俺がこんなに助けを求めてるのに、みんなはちっとも助けてくれず呑気だ。
むつ「あーあ、キングのやつ百目鬼に殺されるんじゃね?」
マキ「百目鬼さんのあの顔は心配してるだけだよ、むつだって、もしキングを飼ってて迷子になったら、勝手にどっか行きやがってって叱るんじゃない?」
むつ「ぶん殴る」
マキ「ふふ♪やっぱ似たもん同士じゃん」
むつ「はぁあ!」
マキ「だって、修二と華南だったら、心配したよって優しく抱きしめるでしょ」
むつ「お、俺だって抱きしめるくらい出来るぞ!」
マキ「ふふ♪」
いや、しない。むつは絶対真っ先に俺のこと殴る!
マキ「百目鬼さん、お説教は後にしたら?キングも1日知らないところにいて疲れちゃってると思うし」
百目鬼「…マキ、キングは飯食ったのか?」
マキ「一応、リンゴと途中買ったドッグフードを少し、いつものやつじゃないから、果物の方を好んで食べてた。なんか持ってきてくれたの?」
百目鬼「好物の丼を…」
マキ「流石百目鬼さん♪わぁ凄い♪手作りご飯にオヤツにオモチャにいっぱい持ってきてくれてるよ♪よかったねキング」
百目鬼「俺は許してないからな」
百目鬼の引きつる笑顔の威圧感にブルブル震えて助けを求めるも、マキは楽しそうに笑ってるし、優しい修二まで微笑ましそうな顔して女の子たちに話しかけてる。
修二「あはは、大丈夫だよ、顔は怖いけど優しい人なんだ。ちょこっと心配性なだけで」
みみ「漢らしいって感じで優しいなんて素敵だと思います」
礼「あはは、うちのお爺ちゃんもいつも怒ってるみたいにこーんな眉毛吊り上げてた、でも、悪いことには怒ったけど、いい事したらその顔で褒めてくれた。私は可愛く見えちゃうなそういう人」
女の子2人は、最初は百目鬼の強面な顔に驚いたようだったけど、百目鬼が俺をつまみ上げた時から、動物の扱いに慣れた仕草や、マキが安心してその光景を眺めてる事とかに空気が和んで、百目鬼を怖がってはいなかった。
そんな女の子2人の反応を、マキが横目でチラッと見て、なんだか一瞬目を伏せたように見えた。
マ…
百目鬼「マキ、キングを連れて帰るぞ」
マキ「!、うん」
百目鬼が、むつの隣にいたマキを奪うように腕を引く。軽くむつを睨むから、むつも百目鬼を睨む。
子供みたいな2人は、オモチャの取り合いみたいに相手を睨んで威嚇してて、本当似たもん同士。
華南「ほらほら、むつ」
むつ「っ、だって華南…」
華南がむつを宥めるように頭を撫でる。ムスッとしたらむつは、子供みたいに頬を膨らませたけど、華南の優しい手と優しい瞳にそれ以上何も言わずにむくれるのをやめた。
ただ、華南が俺たちに手を振っても、むつはそっぽを向いてて、華南に頭をポンポンしてもらってた。
華南「マキ、キング、気を付けて帰ってな」
マキ「うん、今日はありがとう」
修二「またね、マキ」
マキ「うん、またね修二」
マキは、百目鬼に引き摺られるようにその場から離れていく。華南たちに手を振るながら、みみと礼に向かって片手でごめんと謝るようにジェスチャーして
マキ「みみちゃん礼ちゃん今日はありがとう、駅まで送らなくてごめんね」
礼「大丈夫だよ!今日は素敵なお店教えてくれてありがとう!ごちそうさま、また明日ね!」
みみ「ごちそうさまでした、気を付けて帰ってね、キング君もまたねー!」
女の2人は俺たちに大きく手を振ってくれて、マキも振り返してたけど、百目鬼は俺の首根っこ持ちながら、マキを引き摺って道を曲がっていった。
駐車場に停められた車の中に、百目鬼が俺をポイっと投げ入れ、マキの事もそのまま後部座席に放り放り込んだ。
痛い!もっと優しくしろよ!
マキの扱いも雑な……
そこにいた百目鬼の表情には、さっきまでの営業スマイルは残ってない…。
消えたはずの怒りのオーラで、俺とマキの両方を見下ろしてた。
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