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俺たちのバランス〜修二〜
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マキに、『言いたいことがあるなら先に言わないと、むつ君は気づかないよ』と注意された。
僕ちゃんは『マキもでしょ』と言ってやると、マキはヘラっと笑って受け流す。
僕は、僕と華南と過ごすために頑張るむつを応援している。それは本当の気持ちだし、むつは仕事を頑張ってるだけだ…。むつのマッサージを勉強したノートは、ツボやら筋肉の名前や揉み方のポイントでびっしり埋まってる。むつが頑張ってるんだから、僕ちゃんは応援する……
むつと3人は、マッサージの予習復習をして、むつの仕事仲間は2時間くらいで帰って行く。
大輝「ああ、今日も頑張ったから腹減ったぁ」
美樹「そうだね、そお言えば超いい匂い♪」
胡桃「本当♪むつ君のお友達は料理上手だよねぇ」
むつ「修二の飯はマジ美味いぜ」
得意げのむつ。僕は勘繰られやしないかと内心ドキドキしながらむつの会話に耳をそばだてる。
胡桃「私も料理得意だよ。今度ご馳走するね」
むつ「ああ、今度な」
むつは昔より丸くなって、深夜の接客業の成果か周りとうまくコミニケーション取れてる。前は結構空気読めない発言やキレたりしてたけど、このグループとは仲良くできてるし、マッサージの勉強も順調。
大輝「胡桃ちゃんの料理俺も食いてぇー」
美樹「今度たこ焼きパーティーでもしない?」
大輝「お、良いねぇ。やろうぜむつ」
むつ「俺、料理出来ねぇーよ」
美樹「あはは、むつ君出来なさそー」
むつ「女子が作れよ」
美樹「いいよぉ〜♪んじゃタコパ決定♪」
賑やかな3人をむつは玄関まで送っていく、3人はリビングのに居る僕とマキに挨拶してから帰る。
僕はそれを見送り、夕飯が食べられるように味噌汁とご飯をよそう。
胡桃「お邪魔しましたぁ」
美樹「じゃあ、またねむつ君」
大輝「むつまた明日な」
むつ「ああ、気をつけてな」
マキは、玄関のむつの方を見ていたが、1人足りないことに首を傾げて僕の方を見る。
マキ「あれ?華南は?」
修二「さっきメールがあって、今日は竜也さんと飲みに行くことになったって」
マキ「竜也さんってこのマンション紹介してくれた人?」
マキは1度だけ会った竜也さんのことを覚えてたみたい。このマンションを紹介してくれた華南の職場の先輩で、マキを華南の彼女と勘違いしてる人だ。
竜也さんは華南を可愛がってくれていて、今ではしょっちゅう飲み歩く仲だ。
マキ「フーン」
マキはまた僕ちゃんを見つめながら意味深な表情をしてる。
マキには、きっと全部バレた。でも仕方ないんだ。社会に出たら、こんなの当たり前のことだ。学生の時とは違い、華南もむつもそれぞれ人付き合いがある。それは、当たり前で、普通のことだ。僕だって大学での生活があって、むつと華南はその時間の僕を知らない。世の中に出るって、知らない時間や人間関係があるってこと。
僕ちゃんは嫉妬したりしない。
華南もむつもそう思ってるんだから、そのままでいいって思う。
マキの意味深な眼差しに、僕ちゃんは笑って返した。
大丈夫。
大人になれば普通のことだって、僕は僕に言い聞かせてた。
あの日までは…………
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僕は今、早朝のリビングに立っている。
目の前に広がる光景に思考を停止させ、言葉もない。
リビングに面した六畳の和室には、コンビニの袋とおつまみやお菓子の袋が散らばり、空のビール缶やカクテルの缶がいくつも放置されてる。
昨日騒いだろうことは一目瞭然。
そして、それより驚くのは和室で絡み合うように眠ってる、4人の男女。
大輝さんと胡桃ちゃん。
そして、
美樹ちゃんとむつ
それぞれが抱き合っていた……
どうしてこんなことに…なってるのか…、理解できなくて、僕は昨日の1日を振り返った。
えっと…昨日は…、実家に帰って兄貴と母さんと夕食を食べて…。
久々に僕ちゃんと夕食を食べた兄貴が、僕ちゃんを心配して色々聞いてきて、お酒を飲みすぎてた。
絡み酒の兄貴が「もうすぐ一年かぁ」と言いながら寂しそうだったから、明日は大学があったけど朝早く起きてマンションに寄れば良いやと実家に泊まっていくことにして、華南とむつに連絡したんだ…。華南はその日も飲み会で、むつは丁度勉強会をしてて、僕ちゃんが居ないから夕飯をたこ焼きパーティーして食べるって言ってた。
翌朝6時、兄貴が仕事に出かけるのに車に乗せてもらい、マンションまで送ってもらって…
今ここにいる……
華南はまだ帰ってない……
昨日1日と今の状態を振り返ってみたけど…
やっぱり目の前には、絡み合って眠る4人がいて…
むつもそこにいる…
僕らはいつも通りだった。
一昨日もセックスしたし、むつは僕を好きだと言った…。
これは、酔った上のことだろう…
でも……、
僕はどうするべきなのか…
…まったく…分からない………
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