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(裏)ー芽生えー7
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マキが悪い。
絶対マキが悪い。
酒なんか飲みやがって!
貴重な本音を賢史や菫の前で吐きやがって!
しかもキスして抱っこしろだ?!
オメー今自分がどんな顔してるか知ってるか?!
知っててやってるなら重罪な上にどんな目に合っても文句は言えねぇんだからな!!
糞がッッ!!
マキ「ハァ…ハァ…ぁ…じ…んさ…はぁ…あ…」
唇に噛みつかれ酸素を奪われて酸欠状態の可哀想なマキ。だが、どんなに乱暴にされても、どんなに苦しくされても、俺の名を愛おしそうに呼びながらぐずぐずに蕩けて、艶かしく潤む瞳に俺を写す。真っ赤な顔、乱れた息、高揚した肌、息苦しそうに快感に身を震わせながら、力の入らない表情は乱暴に乱されたはずなのに、隠微にうっとりと俺に溺れているような瞳で震えて膝から崩れるが、俺に乱されてるはずのマキからは、俺を更に誘って狂わそうとしてるような淫らで妖艶なオーラが立ち込めてて相当危険極まりない。
抵抗する力がなくなったマキを、そのままガバッと抱っこするように抱え直して攫うように連れ帰った。
褒めてほしいくらいだ。
あの場で肩に嚙みつかなかったことを…。
何されても文句は言えねぇぞ。
みんなの居る前でひん剥かれなかったことに感謝して欲しいくらいだ。
何をされても文句は言えねぇぞ!
可愛いのか、エロガキなのかハッキリしろ!
可愛いツラして真っ赤なくせに、恥ずかしがって純情な反応する時があるくせに。
そうゆうことに慣れきった艶かしくて妖艶なエロエロオーラだだ漏れさせて誘ってきて、卑猥なことも御構い無しなくせに、子供みたいな顔して恥ずかしげもなく無垢なツラして、大好きだとか…
マジで喰い殺されてーのか!!
俺みたいな嫉妬深くて独占欲の塊の身勝手野郎を捕まえて、もっと構ってだッ!?独占したいだッ!?
寂しいだとでも言いたいのか!
俺みたいな男に雁字搦めにされてる癖に…
エロガキでセックスばかりしたがる癖に、笑ってばっかで本当のこと何も言わない癖に。
無自覚に男をその気にさせちまってる癖に。
エロエロな癖に!!
エロエロ淫乱な癖に…、可愛い顔しやがって!!
『えへへ…、神さんだぁいすき♪』
前までと全然違う笑い方。
前までと全然違う幼顔。
前までと全然違う、嬉しそうで幸せな笑顔。
妖艶な魔性なのに、純情で無垢。
1人で何でもできて、1人でいたくない寂しがり屋。
いつもヘラヘラ笑うのに、俺の前では泣き虫で…
糞可愛くて、バカエロくて、強がってばかりで傷ついて泣き方も知らなくて、本当の意味での甘え方は知らなくて、愛おしくて愛おしくて閉じ込めたくて。
俺をこんなに乱しちまう癖に、マキだけが、俺を包んで守りたがる。
細っこいその小さな体で俺を許して甘やかして、俺の欲しかったものを全部くれる。
与えすぎるくらいに…
家に帰り着き、俺のブチ切れた精神状態がこのままじゃマズイとリビングのソファーにマキを放り投げ、洗面所に駆け込んで顔に水をぶっかけて反省した。
マキの素の部分を晒したばかりか、ブチ切れてみんなのいる前でキスして…。マキのエロ顔まで晒しちまって。
それなのにこんな狂いそうなほど嫉妬してるなんてバカ以外の何者でもねぇ。
洗面台をぶっ叩いて爪を立てても治らない自分への怒り、嫉妬に狂った情けない男がびしょ濡れで情けない顔してるのを睨みつけても、鏡の中の情けない俺の顔は、益々嫉妬に歪む。
マキの幼い表情を、菫と賢史に見られた。
2人も予想外だったのか、ビックリしたようにマキを見つめてやがった。
そう、マキは、普段の態度じゃ想像出来ないほど幼い。
だから俺はマキを傷つける。気おつけても反省しても、周りからアドバイスをもらってても、結局、マキに溜め込ませて泣かせる。
あいつが素直にならねぇのが悪い。
何であんな小さな望みすら口にできねぇ?
お前の望みが我儘なら、俺は我儘の塊だろうが!
ゆっくり行こうと決めたのに、全然進めてねぇんじゃねーかって心配になる。
言やいいじゃんか!もっと言えよ!!
我儘言えよ!!
言ってくれなきゃ糞馬鹿な気も気がねぇ俺じゃ分かんねぇよ!!
そりゃ、友達と遊園地行きたいって言われて直ぐにOKしてやれない心の狭い男だよ!
飲み会1つ快く送ってやれない嫉妬深い男だよ!
仲良しの修二にいちいち嫉妬して、糞チビむつなんかに目くじら立てるほど情けない男だよ!
だが、仕方ねぇーじゃんか!
断られても怒られても、とりあえず何でも口にしろよ!
言ってみろよ!
卑猥な単語スルスル吐く暇あったら、俺に怒られるようなでっけー我儘でも言ってみろよ!!
友達も、遊びに行くのも、泊まりも、お前の自由な時間も、やりたい事も、好きな事も全部!
全部が全部許してやれねぇだろけどなッ!!
マキ「じ…ッ…神さん…」
怯えたようなマキの声がして我に返った。
洗面所の入り口に半分体を隠してこちらを覗き込む、泣きそうなマキがいた。
マキ「ご、…ごめんなさい」
シュンとうな垂れたマキは、弱々しい涙目。
どうやらまだ酔いが醒めないらしい。
一体どんだけ飲んだんだ?
モブどもの前でもこんなに可愛いツラ見せたんじゃねぇだろうな。
マキ「もうしません…いい子にするから」
また始まった。
もうしません。いい子にするから。
お決まりのセリフだ。
百目鬼「あと何100回同じこと言うつもりだ」
マキ「ッ…」
マキの肩が震えて、ぐしゅっと顔が歪む。
しまった。
またやっちまった。
目の前の鏡の中には、鬼のように怖い顔した俺の顔がある。
賢史の〝3回転半〟発言が脳裏を過ぎり、笑われてる気がして、俺はため息つきながら呪文を唱え流ことに。
百目鬼「はぁ…」
マキ「…………」
ミケに話しかけるように…
ミケに話しかけるように…
呪文を唱えてシワを伸ばしたところで、俺のヤクザ顔は一生ヤクザ顔だが…
百目鬼「マキ…」
マキ「ッ…ご…ごめんなさ…」
百目鬼「違う」
マキ「…」
涙目の瞳が瞬く。
こいつ忘れてるんじゃないだろうか?
涙目は、獰猛な猛獣を暴れさせるんだって事…
涙は俺を暴れさせる。
ブチ切れて、更にお前を泣かして興奮するんだ。
奮い立たせた理性で奥歯を噛み締めれば、結局睨んだような顔になっちまう。眉間に現れるシワを何とかしようと思えば思うほど歪んで、それがマズイと分かっているから口角を上げるように頑張ったが…
人様から見たら、恐ろしい顔が更に恐ろしいだけ…
鏡の中の俺の顔を見て、俺はガッカリ心が折れそうだ。
泣かせないって…
決めたばかりなのに…
こんなんでマキを20歳になったら攫えるのか?
心から笑ってもらえるのか?
だがマキは、こんな恐ろしい、眉間にめいいっぱいシワがより、鋭い眼光は怒りを抑えようと返って血走って、笑顔を作ろうにも口角ピクピクさせてるだけの俺の顔を見て、大きな瞳を瞬いてキョトンとしていた。
百目鬼「…マキ、不満があるならもっと普通に言ってくれ。いちいち〝凶悪〟な顔をするな」
マキ「…」
百目鬼「ましてや、菫や賢史の前で…」
マキ「…」
俺はなるべくストレートに言ったつもりだが、またしてもどこかで賢史が「3回転半」って笑ってる気がして、更に烏磨に「壊さないでくださいね」って鼻で笑われた気がして、自分の言葉を一度吞み込んだ。
ッ…
そうしてゆっくりマキに向き直り、跪いてマキの手を取った。
マキはビクッと強張って、その手が僅かに震える。俺は深呼吸してマキを抱き寄せ、目の前のマキの顔を少し覗き込むようにして話しかける。
百目鬼「マキ、何がしたいか、何を思ってるのか、もっと言ってくれ。俺はお前を甘やかしてやりたいんだ。世話してるなんて思ってない。それに、仕事のことだって言ってくれて構わない。お前は基本言わなさすぎるんだから、そんな小さな望みを我儘だなんて思うことはない。ユリさんのことは本当に仕事だった、お礼だと思って買い物に付き合ったが、結局、ユリさんは俺を見極めたかっただけだろう」
マキ「…?」
百目鬼「お前の恋人として相応しいかを」
マキ「え?」
キョトンとした顔に涙目のマキほど凶悪なのに、マキは無自覚に俺を見つめる。
いい加減にしてくれ…
マキの目を俺の右手で隠して、もう一度ギュッと抱きしめた。
いいんだよな?菫と賢史が抱きしめろってアドバイスしてた。
こういう時は、優しく抱きしめればいいんだよな?
目隠しされたマキが一瞬体を硬くしたが、俺の腕の中で強張るマキの体から力が抜けてきて、俺を柔らかく抱きしめ返した。
百目鬼「……ッ、マキ、お前は何を溜め込んでる?」
マキ「……僕、神さんが…好きなだけなんだよ」
目を隠しても意味がない。
舌ったらずのマキの言葉は、俺の鼓膜から脳みそを激しく刺激しやがる。
百目鬼「…ッ…」
勘弁してくれ…。
ミケに話しかけるように
ミケに話しかけるように
本音を零す今を逃せば、またヘラヘラ笑って済まされる。
あの時のように…
要らないと言ってしまった時のように泣かせたくはない。
百目鬼「マキ、…頼む。言ってくれ、俺だけが言ってる、お前を離したくないと、馬鹿なガキみたいに嫉妬して」
マキ「……離さないで。……もっと……だっこ…」
百目鬼「……それから?」
マキ「ギュってして…、僕のかぁあいい神さんをギュってさせて……ね?」
百目鬼「ったく」
ポヤポヤした声で甘えて抱きつくマキを抱き上げて、リビングに戻ろうとしたら、マキが耳元でふにゃっと幸せそうに囁く
マキ「だぁいすきぃ…」
……………。
このクソ可愛い生き物をどうしてくれよう。
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