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起‐4
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ふー、とタオルで髪を拭きながら及川がベッドルームに現れる。
「こら。髪の毛。ちゃんと乾かしてこい、って いつも言ってるだろ?」
ベッドの上で週刊誌を読んでいた菅原が声を掛ける。
「ん。じゃ、スガちゃんが乾かしてよ」
及川が、にっこりと笑って、ドライヤーを差し出す。
「最初からそのつもりか、コノヤロー」
「いいじゃん。スガちゃんに乾かしてもらうの、好きなんだもん♪」
「……普通にドライヤー掛けるだけじゃんか」
「指先に愛を感じるんだよね♪」
及川が嬉しそうに笑う。
「……言ってろ」
菅原が照れたように言うと同時に、ドライヤーの電源を入れて及川の頭に向ける。
ガーと勢いよく吹き出す温風を操りながら、空いてる方の手で及川の髪を鋤いていく。
濡れていた髪が次第に菅原の手で整えられる。
「今日はアホ毛を3本立ててやる」
憎まれ口を叩きながらも、菅原の指先は優しく及川の髪を扱う。
スガちゃん、独り占め……♪
恋人として付き合い、一緒に暮らしてもいるのに、誰にでも愛想が良く、人望があって世話焼きの菅原が、自分の為だけに存在している、と実感出来るひとときが及川は好きだった。
知らずと口元が緩み、体ごと菅原に預けたくなる。
「ほら。終わったぞ」
及川の体重を感じながら菅原が声を掛ける。
「ん。ありがと」
及川が背後にいる菅原に、顔だけ向けてにっこりと笑う。
「おう」
菅原がドライヤーをサイドテーブルに無造作に置き、再び週刊誌を手に取る。
「ねえ、スガちゃん……」
菅原に体重を預けたままの及川が、ズルズルと身をずらす。
そして、ベッドに半身を起こして週刊誌を読んでいる菅原の太腿に頬を擦り寄せる。
「……っ」
「あ、れー?もしかして、もう感じちゃってるー?期待してたー?」
菅原がパジャマ代わりに着ているスウェット越しに、及川が熱い息を吹き掛ける。
「ん、……」
菅原の声が漏れたのをいいことに、及川は、スウェットを脱がそうとする。
が、尻を上げようとしない菅原に、前だけを強引に引き下げ、現れたボクサーパンツの膨らみに顔を近づける、と、
パコン
頭に軽い衝撃を感じ、何事か、と顔を上げる。
「いい加減にしろ」
丸めた週刊誌を手にした菅原が見下ろしている。
「何で?!いいカンジだったじゃん!てか、さっきの続きは?」
及川が抗議するように唇を尖らせる。
「それより及川クン。キミは、この件に関してどう思ってるのか、聞きたいなー♪」
と、菅原は低い声で木兎のグラビアページを差し出す。
「……え?」
及川は、その頁と菅原を交互に見る。
「木兎の相手。その女優、お前ともスクープされたヒトだよなぁ?」
菅原の黒い笑みに、そこはかとなく危機を感じた及川は、取り繕うように
「………む、昔のハナシじゃんっ!」
と、言った。
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