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18歳以上ですか?
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ノアが14歳になった頃。
学校にも通わせて貰えなかった彼は、1日読書をするか、広い庭で遊ぶかのどちらかだった。文字の読み書きは出来た方が良いと思い、本に出てくる文字をひたすら見たまま紙に書いて覚える。意味も辞書で調べて、自分なりに蓄えていた。
やっと、ノアは自分の出来ることを見つけ、やりたい事を見つけようと思った矢先。
「ノア様。アドルフ様がお見えです」
「・・・え、父上が?」
(どうして、今になって・・・)
慌てて居間へと向かうと、幼い頃に別れてからずっと、テレビの液晶画面で見てきた父親が立っていた。従者が椅子に腰掛けるように促しても、すぐに終わるからとそれを拒んでいる。
視線が交わっても、その瞳からは何も感じられなかった。
「18歳になったら見合いをしなさい。お母さんのツテで見つけた優秀な家系が日本にある。そのアルファを番にすると良い」
中学生にもなる年齢の少年には、その言葉はどう捉えて良いか分からない。
ただ、ふわりと脳内に浮かんだのが、一際的を得ていたように思う。
“いい加減 お前をもう 手放すつもりでいる”
今更、親の愛情を求めてもダメなのだと気付いた。そしてノアは、差し出された見合い相手の写真を恐る恐る開いた。そこからは見合い写真だけではなく、日常生活のものも入っている。
「キジマタイシという名前だ。お前のことは、日本名で伝えてある。4年後の明日に見合いだ。覚えておけ」
黒い髪と、灰色の瞳。外国の人間を初めて見て、ノアは何だかドキドキした。胸が高鳴り、期待している自分がいる。
日常の写真には、機嫌の悪そうな表情や笑顔、色んな顔をしたものがあった。こんなに表情豊かな人なのか——単純な興味が尽きなかった。
(これが、僕にできる)
(唯一の親孝行だと思えば)
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