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今日は金井と約束した撮影の日だ。
昨日はあのまま授業に出て終わったら直ぐにカフェのバイトに向かい
極力金井に会わないようにした。
あんな夢見てしまいどうしようかと思ったが
今日は元々約束していた日だったため渋々部室棟に向かう。
お互い連絡先は知らないため自然と約束の日は部室で待つ
というのが暗黙のルールみたいになってる。
既にいるかと思って開けた部室には見慣れたミルクティー色は見えず
その代わり赤茶っぽいアホ毛をゆらりと揺らした背の低い女の子
「あり、二葉くんだ〜おいっす〜」
昨日、金井に大野先輩と呼ばれていた人が一人座っていた。
「いやあ、ほんとに被写体やってんのね!驚き轟〜つってね!あ、お茶飲む?」
にししっと独特な笑い方をする大野先輩
はじめて会った時も思ったけれど、全く先輩に見えない。
何かに既視感を感じると思ったらハムスターだな…
「いや、大丈夫です」
「そんなかしこまるなよ〜!気軽にアキちゃんって呼んでいいぜ?あ、私、大野亜希っつーの!よろしく〜!」
のらりくらりと真意のわからない話し方もあり掴みづらい人だな、と思う。
正直苦手なタイプだ。
「はあ、」
そんな俺の反応に嫌な顔一つせずお菓子を渡される。
「まあまあ、食べたまえ。腹が減っては戦は出来ぬって言うし!……っと、そーいや金井っちからの伝言で今日なんか先生に捕まったらしくて少し遅くなるって!待てないようだったら帰っていいって言ってたけど、どする?」
あ、っと思い出したかのような声とともに伝えられた言伝
どうすると言われてもそういう事ならば帰るに決まってる。
しかし、口から出た言葉は正反対のものだった。
「待ちます」
「およ?」
意外だとでもいうような視線が送られる。
俺だってなんでこんなこと言ったのか分からない
帰ろうと思っていたのに口をついてでたのは
反対の言葉でまだ夢の続きでも見ている気分だ。
「そかそか〜!んじゃ待ってる間、私の話し相手になってちょー」
「はあ、」
それはそれで不安しかないが
「そういえば、金井っちは随分君のことを気にしてるみたいだけど」
二葉くん、と呼んでいた名前をわざとか気まぐれか
キミと変えられたことにどうしてか違和感を覚える。
先ほどよりは探るような視線に今からでも考え直したと称して帰りたい気持ちが膨らむ。
「元々知り合いとか?」
「いや、知り合ったのは結構最近です」
「そうなんか〜、でも気にしてるのは金井っちだけじゃないみたいだね?」
まるで全部知ってるみたいな言い方
不安と不信感が心の内に募っていく。
「どういう意味ですか?」
「二人ともお互いのこと気になりすぎの気に入りすぎだなーって思っただけ」
「は?」
「私、金井っちとはキミより前から知り合いで、先輩後輩してるんだけどさ!あんなに楽しげで熱い視線向けてるのなんて初めて見たさね!」
キミよりは、と強調された言葉に
わざわざそんなこと俺に言ったってと考えるが俺は口を噤んだ。
大野先輩はそのまま続ける。
「写真ってさ、その時の瞬間を切り取って残すじゃない?即席の笑顔なんていくらでも撮れるけどホンモノってのはやっぱりカメラマンと被写体で心の距離ってのが近くないとダメだと思うんだよ」
「そうゆうもんなんですか」
「自論だけどね、んじゃま試してみるのが早いっしょ!」
「え?」
カシャッとどこから取り出したのか、
大きいレンズが特徴のカメラが心地よく鳴る。
「金井っちが来るまでちょいっと私の被写体やってくれたまえ!」
突然の展開に頭が追いつかない
あれよあれよという間に部室の奥をセッティングされる。
「緊張するなとは言わんがてけとーにしてていいよ〜私もてきとーに撮るから!」
なにがどうしてこうなった。
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