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ミルクティー色の、
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激しい雨のようにシャワーの熱い湯を頭から浴びる
汚れと一緒にこの胸のモヤモヤも流してくれればいいのに
グズグズ悩むのなんか自分らしくないと思いつつ昨日のことを思い返す。
フォトコンテストまで今日でちょうど残り一週間となる。
一応写真サークルに所属してるのだからやっぱりそういったものには少しは参加しなくてはならなかった。
趣味の範囲内でといっても一応は大学のサークル、仕方ないことなのだろう。
理由はどうあれ参加するならば自分の思う最高を撮りたい。
そう思っていま伊澄さんに協力してもらいながら写真を撮っている
ここ約一ヶ月間、何枚も既に撮っているが正直まだ自分の一番を撮れていないのが事実
焦りもあったんだと思う
日が沈むまで写真の整理やなんやらで学校に残ってた俺を大野先輩にさっさと帰れと半ば無理やり帰らされる
どうしたらいい写真が撮れるかなとか考えて考えて。
そんな状態の時に学校の帰り、駅近くで見かけたアイツ
高身長にスタイルも抜群、女の子が好きそうな甘い顔立ちの俺の高校の友人、そして、俺の相棒だった
、
「ん?あれ?誰かと思ったら翔太じゃん」
「上総、」
「ははっ、すげー久しぶり」
「ああ、」
目が合って、声をかけられて、驚いた。てっきり無視されるとばかり思ってたから
「部活帰りとか、か?」
「ん?いや、バイト〜新しく始めたんだわ」
「そうか…」
「……」
無言、普段はこんなの気にしない、でもこいつ相手だと変にビクついてしまう
あ、と上総はなにか思い出したように口を開いた
「なあ翔太」
「なに」
「お前、今恋人いる?」
「え、ああ。まあ、いるけど」
恋人、と言われて思い浮かぶのは伊澄さんの顔
むっとしてる表情を思い出して少し心が和らいだ。
と、同時に嫌な予感がする。
「へえ?んじゃあさ、」
「なんだよ」
「その人俺に頂戴?」
「は、」
嫌な予感は的中する。
わかっていた、だってこいつはそういう奴だから。
「高校ん時はくれたじゃん?っていっても翔太も俺の彼女取ったけどさ」
「ちが、それは!」
「だからさ、また俺に頂戴よ」
「…っ」
それはそれは楽しそうに笑う上総
もう、あの頃みたいには笑い合えないんだな
全部俺が壊したのだから
「なーんて、うそうそ!冗談!いまはそれよりも面白そうな人見つけちゃったし」
「……」
「じゃ、またな翔太」
そう言って俺の横を通り過ぎていった
冗談という言葉にほっとしたいのにザワつく心。
嫌だ。
すごく嫌だ。
得体の知れない不安が心に纏わりついた。
、
それから今日のお昼に伊澄から聞いた新しく入ったバイトの人の話
もしかしたら、と思ってバイト先まで押しかけた。
そこに上総の姿はなくて、少しだけ安心出来た。
店長の津賀さんもバイトの柚ちゃんにも伊澄さんは愛されてるなって思って安心と同時に自分の知らない伊澄さんを知る二人に少し嫉妬した。
特に伊澄さんから絶対的信頼みたいなのを持っている店長である津賀さんには!
珈琲に口付ける伊澄さんはそれだけで綺麗だった
日常の一つ一つの行動を愛しいと思う俺はきっと重症だ
そんなこと言ったらまた顔を真っ赤にしてバカって言われると思うけど
それでも、愛しい、幸せだ、そう思っても心の奥底のもやもやは消えなくて、どこか遠くに逃げたくて
「海に行きたい」
俺はそう言っていた。
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