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Episode 33
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「……ッは、っ……」
「っあさぎ、浅葱……良かった……っ」
今にも泣きそうな柊が、点滴のない左手を掴み、額に押し付けた。
声色は潤み、もう泣いているかもしれない。
浅葱の頰に出来た涙の筋も空気に触れ、急速に冷えていく。
「……柊」
身体を苛む熱はもうどこにもない。
胃で暴れる生臭い精液も、腸に残る白濁も。
「兄さんに、会ったよ。ボクは一緒を許されなかった。待っている奴がいるって戻された」
言葉にすれば、否が応でも現実を飲み込まなくてはならない。
本当は、ボクは。
柊を置いて行ったって、兄さんについて行ければ良かったんだよ。
それはボクのエゴだった。
「……ッ事故に遭って、ごめん、って……」
ボクだって謝りたいことがたくさんある。
兄さんはネグレクトの両親に代わってボクを生かすために必死に働いていた。
どうして事故に遭ったの。
どうして目覚めてくれないの。
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