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Episode 59
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甘言が染み込み、嗚呼、自分以外の誰かに救われたいと思った。認められたいと思った。
「……浅葱が、家で待ってるんだ」
「そうですか、それで?」
「それで、って……帰ってやらないと、あいつはおかしくなる」
袖を掴み、柊は如月の目を見る。
柔和でありながら不気味なものを感じさせる笑顔は尚も止まない。
「おかしくなるのは貴方の方ですよ。どうしても心配なら、この病院に託してしまえば良いのです」
連絡先を、お伝えしたでしょう?
「僕は貴方の味方です、何があっても、ね」
するり、柊の輪郭を撫ぜていく指先は、その次の瞬間には解錠し扉を開けていた。
如月は何事もなかったかのように廊下を歩いていく。
残されたのは柊。
深く深く、息を吐く。
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