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迎えた体育祭当日。
ギラギラと光る太陽は今日もまた絶好調だ。
眠たい目をこすりつつ、幸人の後ろ姿を追いかけ会場準備に走り回った。
至る所にテントを括りつける釘が打ってあるお陰で
何度躓いた事か。
………イラつく。
そんな俺に対して、幸人はというと…
「氏原先生!ここちょっと持って!!」
「はーーいっ!あ、もう離して大丈夫ですよー。」
「いたっ!!こんな所に画鋲置いたの誰よ〜!!」
「そこにバンソコあるから貼っとけば!あほ!」
「氏原先生、ちょっとここ手が届かなくて…」
「あー、ほんとですね。ここは僕がやるので、隣のテント張り手伝ってあげて下さい」
どうしてこんなに機敏に動けるんだよこいつは。
寝たのなんて俺同様、ほんの数時間のはずなのに…
これが年齢と経験の差なのだろうか。
そしてスルーしたけど2番目の会話よ。
ナル先生への対応は少しばかり可哀想すぎるぞ。
会場準備が完成する頃、生徒達も続々と登校し始めた。
本番前の最終調整として、グラウンドを使う生徒も居るようだ。そろそろ俺達も撤収しないと…
その時
「高木先生!!」
聞きなれた声の、聞き慣れない呼びかけに振り向く。
「…氏原先生。どうかしました?」
「お弁当、今日はちゃんとしたの作って来たので…
その、時間…あれば、一緒に食べませんか?」
あぁ、今朝の部屋に広がる美味しそうな匂いの原因はそれだったのか。
殆ど寝てない状態で、朝早くから弁当まで。
何故そんなに元気なのかと軽く問い詰めたいくらいだ。
俺にもその若さをくれ、と。
「まじすか、絶対時間作るんで。心配しなくても。」
他の教師から不審がられぬよう、敬語でのやり取り。
あまり長話をするのも良くない。
体育祭用にと先日目を輝かせながら購入していた新品のジャージは、鎖骨が見え隠れする位置まで開けていた。
フワフワ笑顔で頷く”氏原先生”の首筋に、人差し指を突き付ける。
「昨日付けたの、見えてますけど。」
それは昨夜、俺が付けた印。
見えるかどうか、ギリギリのラインを狙って吸い付いたある一点。
真新しく灯された赤い痕跡に、一体何人の教師が気付いただろう。
わかってほしい。
こいつは俺の物なんだと。
可能ならば、近づかないで欲しい。
俺の、俺だけの、可愛くて愛おしいこの男に。
みるみる首元から耳までもを赤く染めた幸人は、慌ててチャックを限界まで引っ張り上げて俺を睨む。
そんな幸人を煽るように、いつもの笑顔で
意地悪な顔だと何度も言われたあの顔で
離れる間際、耳元に口を寄せる。
「見せつけちゃうなんて本当にヘンタイですね。」
見せつけちゃうなんて
本当にヘンタイだよな
アンタも、俺も。
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