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氏原side‥₅
「え、ちょ、ゆきちゃん?!ゆきちゃんどうしたの?!」
わかりやすく焦り出す心ちゃんに、ごめんね何でも無いよだなんて言う余裕はなかった。
だって…だって僕今まで一度も康明に断られた事なんて
無かったじゃん…。
しかも康明、お店に食べに行くより僕のご飯が美味しいって言ってくれて………なのに…………うううぅ
「夜の………楽しみが無くなった……。」
「ど、どうしたの…。見たいテレビ、野球で潰れた?
あ、サッカー?それともバレー?」
なんで選択肢がそれしか無いんだよ。
あるけど。そういう時たしかにあるけど。
「テレビより大事………僕の人生もう終わりだよ…」
ほんと、何で?康明…………。
ご飯飽きた?
それか本当はいつも気を遣ってくれてたとか?
我慢させてたのかなぁ…
それともしつこかった?
明日一日あるならいーじゃんって?
………僕は違うんだ。
一分一秒…少しでも長く、康明と一緒に過ごしたいんだ。
でもそんな気持ち、康明に伝わるはずが無い。
こんなに、好きなのにな。
思わず熱くなった目をギュッと瞑り、カーディガンに
擦り付けた。
「……えっとさ、ゆきちゃん…。もし、夜暇なら
ウチらのクラス今夜体育祭の打ち上げやるけど来る?」
「……………………え?」
顔を上げて涙を拭う。
まさか泣いていたとは思わなかったのか、心ちゃんは
どうしよ、どうしよって呟きながら僕の顔色をうかがっていた。
確かに、夜、予定はなくなった。
予定なんてものじゃない。僕の一方的な誘い。
たまたま予定があって康明は断った。それだけだけど
クラスの打ち上げなんて、養護教諭の僕が行ってどうなる?
心ちゃんみたいに仲良くしてくれる子もいるけど、
大半はほとんど関わったことの無い生徒。
それにこんなズタボロメンタルな僕が行ったところで
皆が楽しめるとは到底思えなーーー
「高木っちも来るけど。」
「いく。」
即答した僕に心ちゃんはケラケラ笑う。
え、康明行くの?
僕の歓迎会のとき、康明本当は行くつもり無かったらしいし、こういう類の集まりはあまり好きじゃないのかと思ってた。
でも、そうか。
体育祭の打ち上げ。
あんな格好良い姿見せた康明が、誘われないわけ無いか。
…………なんか、ちょっと安心した。
しかも一度諦めたからこそ、夜一緒にご飯食べれるっていうのがすごく嬉しい。
二人きりじゃない、とかそんなのどうでもいい。
康明の姿が見れる
康明と話せる
康明と同じ物を食べられる
それが僕にとって、どんなに幸せか。
「じゃあ、決定で!それまでに買い物、終わらせよ!
…実は今日着る服買いたいんだよー…。」
ポッと顔を赤らめた心ちゃんは可愛いと思う。
きっと、今日康明が参加するって決まって
慌てて服を買いに来たんだろう。
……これでも僕ら、恋敵だと思うけど。
心ちゃんはかなりのお人好しなんだなぁ。
僕なんかを誘って、康明の事独り占めしたいとか
そういう汚い感情はこの子に存在しないんだろうか。
僕が心ちゃんなら絶対に誘ったりしないのに。
僕も、汚い事考えてないで
心ちゃんを見習わなきゃ。
わかってる
「心ちゃんは、高木先生に告白……とか、しないの?」
ふと、無意識に聞いてしまった。
僕が明日、しようとしていることを心ちゃんはどう思うんだろう。
心ちゃんは、気持ちを伝えるつもりは無いんだろうか。
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