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「ん…………」
寝床から起き抜け、彼をスリープモードの状態から起こす。
人とは違い、彼の場合起きるのにも俺の手が必要となる。
本来ならば設定しておいた時刻になれば自動的にスリープモードが解除されるのだが、今日は彼よりも早く俺が起きてしまった。
動作確認をしている彼の横を通り抜けて用を足しに行き、洗面所に手と顔を洗いにいく。
俺が顔を拭き終える頃には彼が淹れたコーヒーの匂いがリビング中に広がっていた。
「おはよう」
「おはようございます。今朝の目覚めはいかがでしたか」
椅子に腰掛けてコーヒーに口を付ける俺の横で彼がトースターを使いトーストを作ってくれている。
「いつもと同じだよ」
「そうですか」
朝食の準備は前日に済ませておいたので、冷蔵庫の中から取り出した昨晩の残りと一緒にテーブルの上に並べた。トーストとコーヒーとスープと茹で卵に残りのおかずを合わせて食べる。今回の出来はなかなか悪くないと思う。
****
手早く腹ごしらえを終えて、身支度を整えた俺の背中を彼が見送っていた。
見送りの際もついてくるのは玄関手前の廊下までで、扉から外に出ることはない。
そういう風に設定されているからだ。
「……いってきます」
「……いってらっしゃい」
背後で彼が手を振っている気配がした。
扉の外に人の気配が無いことを確認してから、足元に気をつけながらドアを押す。
これからも彼と一緒に過ごすの為に、今日も寂しくて恐ろしい場所へと自分は向かうのだ。
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