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たかきよくんのお父さんは、たかきよくんに頬擦りをしながら怒った声を出す。
「天清っ、誰がそんな意地悪を言ったんだ?おまえは頑張って、他のどの子達よりも早く、耳や尻尾を出せるようになったじゃないかっ。半妖だとか関係ない。おまえは立派な妖狐だ!」
「お父さん…くすぐったいっ。ふふっ、もう大丈夫だよ。その子も、変身したぼくを見てごめんねしてくれたよ」
「そ、そうか?おまえがいいならいいけど…」
たかきよくんが、たかきよくんのお父さんの顔を両手で強く押して離す。それにショックを受けたらしいたかきよくんのお父さんが、しょんぼりとして立ち上がった。
「青藍…」
いつの間にか僕の傍に来ていた凛が、僕の頭を優しく撫でる。
「銀ちゃんの翼が羨ましかったの?」
僕を覗き込む白い顔に、僕は小さく頷いた。
「うん。キラキラして綺麗だし…。凛もしろおじちゃんの翼、好きでしょ?」
「そうだね。好きだよ。でもそれだけじゃない。優しいけど少し意地悪なところも、強いのに俺にだけは弱くなってしまうところも、他にもいっぱい数えきれないくらいに好きなところがある。たぶん銀ちゃんの翼が黒だったとしても、好きになってたよ」
「ぼ、僕はっ?しろおじちゃんより先に僕に会ってたら、僕を好きになってくれた?」
僕は、僕の頭を撫でる凛の両手を掴んで、勢い込んで聞いた。
凛は、一瞬大きく目を見開いた後に、フワリと笑って、とても優しい眼差しで僕を見た。
「そうだね。でも、もしもって話はないことだから。青藍は、まだ五歳だ。これからたくさんのいろんな人と会うよね。その中にきっと、青藍だけを見て青藍だけを想ってくれる人が現れるよ。だから、もっと周りに目を向けてみて…」
こんなにも僕は凛が好きなのに、凛はしろおじちゃんのことばかりで僕のことは相手にしてくれない。
僕はほっぺを膨らませて凛から目を逸らせた。
その先で、たかきよくんが僕をジッと見つめていた。
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