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侑舞が落ち着いたところで、自殺未遂に至った経緯などについて話をした
そしてその内容は、やはり姫宮の予想通りだった
「ぶっちゃけさ、湊君は迷惑だと思ってないと思うよ?」
「そんなの分かんないじゃん。言わないだけってこともあ
り得るでしょ?」
でたよこの子の変に勘ぐる癖が
「だとしても、迷惑を全くかけないことは不可能よ? 生
きてる以上は仕方ないことなの」
すると突然侑舞が驚いたように言った
「それ……。その言葉に似たことをあの人も言ってた」
「あの人って?」
「俺が死のうとしてたのを止めた人。多賀さんだったか
な? 兄さんの友達なんだって」
どうやら、なかなか良い出会いがあったようだ
多賀くんか覚えておこう
姫宮は頭の片隅にその名前を記憶した
「そいつ、よく分かってるわ~。良かったね、止めに来た
のがその人で。他の奴だったら、どうなってたか分から
ないでしょ?」
侑舞は確かにそうだなと感じていた
侑舞にとっては、面識がない人の言葉であそこまですっと入ってきたのは珍しいことだ
おそらく、自分が言い返せないくらいしっかりとまとまった意見じゃないと、その隙を侑舞自身が突いてしまう
「ま、なんにせよ侑舞くんは湊君とちゃんと話をしなさ
い。いい加減逃げるのは終わりにしたら? 自分でも分
かってるんでしょ? このままじゃいけないことは」
「それは分かってるよ。でも、怖いんだ」
侑舞くんが怖がるのはよくわかる
誰だって怖い
関係が崩れてしまう可能性だってあるのだから
でも、もうこの兄弟は限界まできてしまっている
「怖いから逃げて、私がいなかったこの2年、その恐怖か
らは解放されたの?」
「…………」
侑舞は黙り込んだ
答えはNOだったからだ
結局事態は悪化しただけだった
「答えはとっくに出てるんでしょ?」
きっとこの子は分かってる
そこまで馬鹿じゃないことを私は知っている
踏み出さなければこのまま崩れていくだけなんだ
なら、失うものは何もない
進めば何かが得られるなら進む以外に選ぶものはないだろう
「今は無理だよ。まだ整理ができてないし、何を言えばい
いのか全然分からない」
「さすがに体調も万全じゃない子に、今すぐ何とかしろと
は言わないわよ。そこまで鬼じゃないー……ってなに
よ、その顔は〜! 嘘だろって言いたげね??」
「べつに……。そんなこと思ってないし」
絶対に思ってる顔をしているが、これ以上はツッコまないでおこう
「あっそ。まぁ、とにかく今は体調を戻すことだけに専念
しなさい。退院した日にでもゆっくり話をすればいい
わ」
「うん。ありがとうございます」
「いいえ。じゃあ、今日はここまでにしようか。疲れたで
しょ?」
「んー。ちょっと?」
明らかにちょっとどころじゃなさそうなので切り上げることにした
この子はこっちから踏み込んでいかないとダメな子だ
すぐに遠慮をする
「明日も来るから。あ、別にもう今日は呼んじゃダメとか
ではないから、話し相手が欲しかったら呼んでくれてい
いわよ」
それだけ言うと姫宮は病室を出た
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