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放課後。
また俺は補習を受けに数学教室に来ていた。
今日は隣に人はいなかった。
さっき確認してきたから大丈夫!
もうあんなこと絶対勘弁だからね…
ふう、とため息をついてノートと筆箱を取り出す。
昨日貸してもらった公式集も鞄から取り出そうと探していると教室の扉が開いた。
「お、ちゃんと来たんだな」
「俺がサボると思ってたんですか!?見てください家でしっかり写してきました!」
ノートを広げ先生にドヤ顔で見せる。
俺がこんなに頑張ったのは恐らく中学受験以来だ。
稲見先生は呆然とした顔をした後、突然吹き出して笑った。
その反応、さては馬鹿にしてるな…?
「ふっ、はは。そうだな偉いな」
「えっ?」
頭をぐりぐりと雑に撫でられ驚く。
なんだかいつも貰う反応と違って優しい。
今朝亜太や芽鶴に散々いじられたばかりだったので、嬉しく感じた。
先生につられて俺も笑みが溢れた。
「じゃ、良い子の穂中くんにプレゼント」
「プレゼント…って普通に数学のプリントじゃないですか!」
「穂中のその努力に見合った報酬を与えているだけだよ」
「先生、俺のこと馬鹿にしてますよね…?」
ばれた?と意地の悪い顔でまた笑われる。
もういいっ、と渡されたプリントを解こうとシャーペンを手に取ったらその手を止められた。
「今から二十分。昨日写した公式集見ていいから一人で解くこと。分かった?」
「おす、頑張りますっ」
「よし、よーい」
ピッと鳴った機械音と共に問一の問題を見る。
えっと、ここの数字をここに代入して…
うーん早速分からない。
頼りの公式集から当てはまるものを探す。
そして目当ての公式を見つけて数字を入れていく。
おお、解ける!
この公式集すごいぞっ!
問題が解けていく感覚に楽しさを覚え俺は次々に進めていった。
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