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ちょうばつぼう
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お腹がすきすぎて死にそうだったぼくは看守くんからもらった日記帳にお友達を描いた。
仲間にもらったペン。
これはオーラをインクにして描くものなので、使えない。
今ぼくの左腕には鉄の輪っかがついている。
この輪っかの不思議な力でぼくはオーラがだせなかった。
仲間に言われた言葉を思いだす。
“これは念と魔術の両方を取り入れた道具だから、血でも発動させることができる、いざと言う時は血を使うんだ”
そうか、血ならある。
お腹がすきすぎていたせいで少し美味しそうに見えたぼくの腕、それにがぶりと噛み付くと、赤いインクがたくさんでてきた。
出てきたインクを無駄にしないように、たくさんたくさんお友達の絵を描いた。
描いたお友達は日記帳から起き上がり、ぼくのおねがいをきいてくれた。
最初のころは食べ物をたくさんもってきてくれたんだけど、途中でだれも返ってこなくなった。
なにがあったんだろう?
そんなことを考えてたら、頭がぼーっとしてきた。
なんでだろう。ねむい…。
そのままぼくはねむってしまった。
目がさめると、真っ白の壁、真っ白の布団の上にいた。
ここは、医務室、というところらしい。
ぼくが起きたのを見た白い服の人がほかの看守くんをたくさん呼んできた。
ぞろぞろと医務室に入ってきた看守くんたちは、ぼくに質問をした。
「日記にパンダを描いたか?」
「うん、描いた」
「パンダを能力で具現化させたか?」
「うん、した」
「パンダに食料を盗ませたか?」
「食べ物、もってきてもらった
お腹すいて死にそうだったから」
「パンダに看守を襲わせたか?」
「それはしらない、パンダくんたち、帰ってこなくなっちゃったの」
「……わかった、お前は食料を盗んだ罪で懲罰房に移動だ、体調が回復したらな」
「ちょう、ばつぼう?なにそれ」
「罰を受けるところだ」
「罰?なんで…」
看守くんは、はぁ、と息を吐いてから何も質問してこなくなった。
看守くんたちが帰ったあと、ぼくはまた寝た。
起きて、あいかわらず少なすぎるごはんを食べて、そしたら看守くんたちがぼくをむかえにきた。
ここが、ちょうばつぼうか。
ちょうばつぼうというのは、懲罰房と書くらしい。
ちょっと暗くて、いつもの房っていう部屋より狭くて、テレビも本もなくて、薄い布団と、床と、人しかいない。
なんか少し、なつかしい感じ。
ん?人がいる。
「きみ、だれ?」
お名前をたずねながら近づくと、やっと顔が見えた。
「…?」
その人は、こっちを見たけど、何も言わなかった。
お名前、教えてくれないのかな。
さっきまでは暗くてよく見えなかったけど、近くで見てみると、髪の毛の色が猫太にそっくりだ。
でも猫太みたいに長くない。
目の色は、猫太とは違くて、黒と白だ。
パンダみたいに、黒と白だ。
「きみは、パンダなの?」
「?」
「ぼくはね、ぱんだだよ
ぼくの名前はぱんだ。きみは?」
「…べーたくん」
やっと声が聞けた。
「べーたくんっていうんだ。
べーたくん、ぼくとお友達になってよ。」
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