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テストの最終日はホームルームがある。いつもは何とも思わない担任の話がとても長く感じる。掃除があるのもわかってるし、来週から短縮授業なのも分かってるし、赤点だったら夏休みに補講があるのも分かってるから、早く終わらせてほしい。
僕の願いも虚しく担任は20分くらい話していた。
楽しみの方が大きすぎて、何を話していたのかは聞いていない。
「海くん、帰ろう」
「おー、どっち行く?」
「海くんちに近い方」
まだ昼前だから暗くなるまで遊んでる、なんてことはないだろうけど。もちろん暗くなったら喜んで送るんだけど、たぶん海くんは嫌がると思う。
電車に揺られて移動をする。平日の昼だから余裕で座れて、海くんと並んで座る。こんなことができるのも嬉しい。
「海くん、お昼ご飯もどこかで食べる?」
「そのつもり。なんか食いてーもんある?」
「海くんが食べたいもの」
「好き嫌いは?」
「うーん、納豆、メロン、柿、かなあ。食べに行ってそう出てくるものじゃないから気にしなくて大丈夫だよ」
結局話しても決まらなくて、見て決めようと言うことになった。海くんの家に近いショッピングモールはかなり大きい。何度もきたことがあるけど、母さんに連れ回されてるだけなのであんまり何があるのか覚えていない。
レストランガイドを見ると本当に色々あった。ハンバーガーにドーナツ、フライドチキン、丼物。ハンバーグ、オムライス、スパゲティ。
海くんのチョイスはラーメンだった。僕が頼むと、海くんはそんな食えんの?と言いたげだった。僕は海くん、それで足りるの?と聞きたい。
「いただきます」
「………いただきます」
食べ始めて気付いた。海くんはきっと猫舌だ。必要以上にフーフーしている。口をすぼませて息を吹く姿も可愛い。唇がキスしてって言っているように見える。
ずっと見ていたいけどそうしてる場合でもない。ラーメンが伸びてしまう。大盛りのラーメンとおにぎりのセット。海くんはラーメンの並み。なぜか僕の方が早く食べ終わった。
食べ終わってからは海くんを眺める。
海くんは食べるのゆっくりだもんなあ。しかも猫舌っぽいのに熱いラメーンって、そりゃあ時間がかかると思う。
もうフーフーはしてなかったけど、見ているだけでとても楽しかった。
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