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修学旅行2日目、自由行動の日。
僕たちはホテルからバスに乗って移動をして、清水寺を目指す。その道中、海くんと山本くんが前で言い合っている。内容はお昼ご飯、また湯葉を食べたい海くんとがっつり胃袋に乗るものを食べたい山本くん。
どちらも一歩も譲らないまま、清水寺には到着した。
見たことはあったけど、やっぱり綺麗な景色だ。今日が晴れていてよかった。遠くまでよく見える。海くんもすっかり見入っているようで、やっぱり定番を選んで良かったなあと思う。もう少しゆっくり見て回りたかったのに、景色を一通りざっと見ただけですぐに地主神社に向かってしまった。
そこで僕はやっぱり恋占いの石にチャレンジさせられることになった。
目を開けたりしないのに、タオルで目隠しまでされた。
ここまで真剣にやるものなのかな、と思いながらスタート位置に立たされた。
「唯斗、真っ直ぐこいよ、俺向こうにいるから」
そんな海くんの言葉が聞こえた。
そのあとは直樹や山本くん、同じように地主神社に来ていた同級生たちに右だ左だと言われた。
だけど、真っ直ぐだ。
海くんの声は真っ直ぐ、とただそれだけ言っている。
言われたように真っ直ぐ進む。たまにストップと言われた。この願掛けをしていると周囲の観光客の人も避けてはくれるけど、たまに人が入ってきているのかもしれない。
そして、また進みだす。
そうしているうちに足に何か当たった。
「外していーぞ」
そう言われてタオルを取る。
足の先には石があって、その石の後ろには海くんがいる。
僕は無事にたどり着けたようだった。
「そんな簡単そうなら俺もやる!」
と、次は山本くんが挑戦した。
真っ直ぐ進めばいいのに、周りの声に惑わされて右へ左へ揺れている。そんなことをしてたらもちろんたどり着けるはずもない。
山本くんは狭い境内を歩き回り、結局向かいの石にはたどり着かなかった。
「唯斗、なんであんな真っ直ぐ進めんの?全然行けないんだけど」
「真っ直ぐ歩けばいいと思うけど」
そう思って恋占いの石をもう一度見る。
こんな短い距離の願掛けで、どこまで願いは届くだろうか。
あれ、僕何願ってたっけ……。
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