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雅日side
理由は分からないけど、何故か小さい頃から自分に自信がなかった。
でも、俺の中で1つ大きく変わった事がある。
みんなからしたら大きな事では無いかもしれないけど。
それは、小学校5年生の頃。
友達と遊んでいる時に友達の爪が顔にあたり、傷ができた。頬のあたりにそんなに深くはなく、1週間くらいで治るような傷だった。
元から周りの目をすごく気にしてたので他人が1番見る顔にできた傷がすごく嫌だった。
絆創膏を貼ろうとしたけど、心配されたがりと思われるのが嫌でマスクをすることにした。
一週間後、傷は治ったがマスクは外せなかった。
マスクをしていれば何も気にしなくていい気がした。
でも、さすがにマスクを取らなければいけない時は来る。
中学校の卒業式、俺はマスクをせずに登校した。
楽しく、涙で終わるはずの卒業式なのに俺はマスクがないせいで誰とも話せなかった。
話そうとしても目が合わせられない。
俺はずっとマスクをしていることを決めた。
顔の半分以上が隠れるマスクは心の底から笑っていなくてもバレない。
泣いてたってバレない。
嫌な顔をしたってバレない。
最高だと思った。
小学校5年生から現在の高校2年生までずっとマスクをしてきた。
夏の熱い日も、体育で激しく動く時も、お弁当を食べる時も。ずっと、ずっと。
マスクで隠れてバレないと思っていた作り笑い。
1人の男に全て見抜かれていた。
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