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なんとなく教室にすぐに帰るのは気まずくてみんなが帰ってから教室に荷物を取りに行って一人で帰った。
昨日までは隣に夕雨がいたのに…とまた落ち込んだ。
でも櫻井さんと話せてよかった。
また月曜日も話す約束をした。
これなら夕雨いなくても少しは大丈夫。
でも、家に帰りたくないな…
「貴方とはもうやっていけないわ。
子供達も貴方が引き取ってちょうだい。」
「私だってそうだ。
お前が産んだ子だろう。責任を持ってお前が引き取るんだ。」
俺達は望まれて産まれてきた訳では無い。
これは親の口からは絶対に聞きたくなかった。
俺だって産まれたくて産まれてきたんじゃない。
お前らが勝手にこの窮屈な世界に産み落としたんでしょ…
これは齢17歳にして知った現実だった。
わざと大きな音をたてて玄関を開けてリビングにはいる。
リビングを通さないと2階には行けない。
「あ、雅日ちょうどいい所に来たわね」
話しかけるな。
そう思ったが、この家ではいい子が気に入られる。
だから今日も作り笑顔でなに?と応える。
「私達やっと離婚の許可がおりたのよ。
だから雅日は今日から1人で生きていってね。
誰もあなた達を引き取りたくはないんだって。
ようやく私も自由になれるのにお荷物抱えたままっていうのは嫌なの。
生活費は毎月2人で送るわ。」
はは…そうだよな…
強制結婚だったんだ…
するならもっと早くして欲しかった。
1人で生きていく?どうやって?
お荷物?
ふざけるな…
涙なんて出てこなかった。
「わかった。この家はどうするの?」
「そうねぇ…売ろうと思うわ。
こんな家が存在してるだけで嫌だから。
だからさっさと物件見つけて出て行ってちょうだい。
兄さん達はもう自立しているから私から連絡するわね。」
自分勝手だな…
そもそも俺はまだ高校生だぞ…
家なんて借りれるかよ…
「わかった。」
と最高の笑顔で言ってやった。
毎日毎日喧嘩の声聞かなくて済むんだ…
よかったよかった。
でも何故か心にぽっかりと穴が空いたような気がした。
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