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「喜嶋朔(きしまさく)センパイ、とりあえず1回やらせて貰えません?」
高校3年の春、放課後の教室でそんなことを言われた。
こいつは女子がよく噂しているので知ってる。
背が高くて、顔が良くて、性格が良くて、女癖の悪い矢田大規(やだだいき)。
「相沢光輝(あいざわこうき)先輩とどう言う関係ですか?」
「ああ、そういうこと。1回で終わらせてくれるの?」
「え?」
「だから、1回で終わらせてくれるの?」
「とりあえず1回。相性よかったら続けたいかなあって感じです」
「わかった。人にバレない場所、俺が卒業するまで。それを守るなら好きにしていいよ」
「あの、俺がいうのもなんなんですけど、抵抗しないんですか?」
そんなのするだけ無駄だ。
相沢の名前が出てきて、スマホを持つ手。
「そんなもん持ってて抵抗すると思う?」
「どうやって説得しようかなって思ってたんです」
「それは説得じゃなくて脅迫って言うんだよ」
まだ脅してませんよ?なんて言うけどそんなの知らない。
持ってる時点で脅してるのと何も変わらない。
「ホテルか俺んち、どっちがいいです?」
「どっちでもいい」
わかりました、と歩き始める矢田。付いて来いってことだろうな、と思ってそのままついて歩く。
抵抗するだけ無駄だ。
セックスは痛い。
だけど、抵抗して押さえつけられてされる方がもっと痛い。
それなら、抵抗なんてせずにおとなしく終わるのを待った方がいい。
その日まで、俺にとってセックスはそんな認識だった。
その程度の認識だった。
この、矢田大規とする前は。
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