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どうするの 2
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俺の呟きは誰が返事する訳でもなく霧散する。
どうしたら春翔と距離を縮められるか。
どうしたら俺の気持ちが届くのか。
課題はまだまだ山積み。
問題はそれだけでもないし。
何より......
「時間がないな……」
時間は無限じゃない。
与えられた時間は有限なのだ。
できるだけ早く事を進めないと。
俺に今できること…
いや、すべき事はなんだ。
「はぁ……どうしよ」
纏まらない思考に
ぐしゃぐしゃ、と髪の毛をかきあげる。
「……ゆう、入るよ」
「ん、」
ため息をついてぼーっと天井を見つめていた所に
ノック音が響く。
ひょこっと顔をのぞかせた双子が俺を呼んだ。
「今から始めていいのか?明日まだ平日だけど....」
「いい」
「しばらくは家から出れないんだから、学校行けないよ」
「いいんだ、今の状態で春翔に会えないし。
それに…ちょっと頭冷やしたいから。始めて」
俺の返事に太陽と新月が顔を見合わせ、小さく頷く。
「「....わかった、僕らも準備するよ」」
「拝殿の入口で待ってるね」
「昇殿するから清めてから来いよ」
そしてまた後で、と残して部屋を去った。
双子の用意してくれたご飯を食べて風呂に入り、昇殿するに相応しい服装に身を包む。
2度目の袴を慣れないながらに見に纏い、言われた通りの場所へと向かう。
「来たな」
「服は...なんとか着れたみたいだね、よかった」
入り口には普段よりも立派な袴に身を包んだ双子が待っていて、いつも通りの口調で出迎えてくれる。
なのに雰囲気が普段とまるで違くて。
さすがは覡、と気圧されそうになる。
普段生活してると忘れがちな彼らの”本来の姿”。
「「さぁ、始めようか」」
双子が口元を狐の面で覆い呟く。
その刹那、空気がピリッと引き締まった。
神社がまるで神社とは別の場所になったような。
拝殿に足を踏み入れるとその雰囲気の変化を感じる。
「....こちらへ」
「静か目を閉じて、力抜いててね」
双子に言われるまま本殿を目の前にして正座する。
そして、そっと目を閉じた。
前で動く2つの気配。
『『我らが主神、稲荷の神よ。汝の神獣の名の下、かの者を神聖なる場に導くこと許し給え』』
二人の覡が唱えると周囲に広がる暖かな気配。
夜の空気は消え、暖かく包まれるような空気が支配する。
その空気を感じたが最後、俺の意識は奥底へと沈んでいく。
そして次に目を覚ました時。
「.....ん、.....ぅわ......っ!?」
俺の目の前に思ってもみなかった顔が現れる事を
この時の俺はまだ知らない。
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