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俺はちっちゃくない!
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転入して初めこそ物珍しさに周りからジロジロ見られていたが、それも四時間目の授業が終わる頃にはおさまっていた。
誰も俺に話かけてくるやつは居なくて当初の予定通りだった……
彼奴を除いては。
「優ちゃん! 次お昼だよ、一緒に食堂いこー」
そう言って席を立った啓ちゃんは俺に手を差し出した。
掴めと言う事なのだろうか。
いや、ワザワザ立つのに手を借りなければいけないほど俺は子供では無いのだけど。
でも、目を輝かせて差し出された手を握らないのも良心が痛むといいますか。
「はぁ……」
啓ちゃんの余りに期待する目に負けて結局手をとってしまった。
見ろこの嬉しそうな啓ちゃんの顔を。
それにしても立ってならんで思ったが啓ちゃんは背が高い。
顔も世にゆうイケメンに申し分無い面をしているし。
様子を見る限りモテる。
啓ちゃんに熱い視線が送られる反面俺には妬みがこもった視線が痛い。
何なんだ、イケメンでモテて身長高くて、こいつの性格なら友達も沢山居そうだし。
神様はこいつに色々と授け過ぎだ。
「ゆーちゃんってちっちゃいねー」
「なっ!?」
こいつは人が気にしている事を……。
断じて俺が小さいわけじゃない。
こいつが大きいんだ。
「ちっちゃくて、かぁいいー」
そう言って俺の頭をポンポンしだす啓ちゃんに軽く殺意が芽生える。
なんだこいつは。
てか、啓ちゃん髪の毛触るのすきだな……。
「あのさ、俺も男なんだから可愛いなんて言われても嬉しくないんだけど」
上に乗ってる啓ちゃんの手を退けながら言うと啓ちゃんはブーブーとただをこねた。
「もうちょっと触っときたかったな……」
全く人の髪の毛触って何が楽しいんだか。
そういえば康介も俺の髪の毛をよく触ってたよな……。
って、また康介の事……。
忘れなきゃいけないのにな。
「とりあえず、昼飯だろ? 早く案内しろよ……行くんだろ? 食堂」
俺は、頭に浮かんだ彼奴の顔を振り払うようにして食堂に向かった。
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