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もう離れられなくて#38
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”雨、止まないな。”
夕方、相も変わらず降り続く雨に飽き飽きしてきたころ、
奏楽さんからそんなメッセージが来た。
ああ、奏楽さんのいるところにも、この雨は降り注いでいるんだって
少しだけうれしくなったのは秘密。
”やみませんね…。明日は晴れるって言ってましたけど。”
せっかく僕たちの1ヶ月を祝う日だというのに、
こんなジメジメした天気じゃ嫌になっちゃうよ。
窓を眺めてため息をつく。
と、奏楽さんから返ってきた返事は意外なものだった。
”雨ってテンション上がるよね。”
出た、キモいクマ。
大はしゃぎとか書いてあるクマが奇妙な動きで踊ってるやつ。
奏楽さん、このクマ気に入ってるんだな。
僕にそいつの良さはあまりわかってあげられないけど。
”雨好きなんですか?”
”好きだね。雨男だから何かある日は大体雨が降る。”
わわ、そうなのか。
奏楽さんは雨男。
ちなみに僕は、名前のせいか知らないけれど生粋の晴男だ。
この体質のせいで、行きたくもない遠足が前日の天気予報までしっかりと雨予報だったのに
当日カラッカラに晴れて中止されなかったことや、
遠足に限らずとも屋外でのイベントは
毎回そんな風に期待を裏切られた過去がある。
奏楽さん羨ましいな、なんて思ったり。
”1ヶ月記念日だったから雨なんだな。”
奏楽さんのメッセージを見て、
とくんと心臓は少しだけ活発に動き出す。
それって、僕との記念日を奏楽さんが嬉しいって
思ってくれてるからですか?
奏楽さんが心のどこかで、喜んでくれてるから雨なんだって、
そうやって捉えてもいいんですか?
僕、調子に乗ってもいいってことですか?
”そうかもしれませんね。”
奏楽さんが、僕を嫌がらずにいてくれているから、
こうして雨が降るのかもしれません。
僕の体質なんて覆しちゃうくらい、
奏楽さんの心が空に響いたのかもしれませんね。
なんてロマンチックなことを考える頭、どうにかしなきゃ。
調子に乗りすぎだ、
都合よすぎだってわかってる。
わかってるけど、
誰にも言わず、僕一人だけで思うことくらいは許してください。
奏楽さん、大好きです。
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