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寝顔
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亨といると心臓が持たない。
自分は夢を見ているのではないかというくらい、予想を上回る行動をしてくるので心臓が飛び出すほど驚いてドキドキしてだけど嬉しくて·····。
突然手を握られたと思ったら、膝枕。
葵は膝の上で寝息を立てている亨の寝顔を直視が出来きず、だけど見たい要求もあり逸らしては見るを繰り返していた。
亨の気持ちは分からない。自分が好きだと言ったから付き合ってくれているのだとしても葵にとっては今この状況は幸せだった。
自分にとっては一喜一憂することでも亨にとっては当たり前のことなんだろうなと思うと寂しい気持ちになる。
先程まで亨がオススメの映画の予告編を見ていたが集中できるはずもなく、画面を停止しては亨のスマホを握る。
いつも恥ずかしくて俯いてばかりでちゃんと見ていなかったがやっぱり亨は誰もが認めるくらい格好良くて整った顔をしている。
ただ、今こうして目の前にある寝顔はどこかあどけなく、柔らかそうな髪に触れたくなった。
無意識に手が伸びて亨の額から流れる髪の毛に触れようとした時·····塔屋の上から黒い影が降ってきて即座に手を引っ込めた。
影の方を見ると若杉がこちらを向いて此方を見てきていた。一瞬にして背筋が凍る。
黒髪パーマで江藤といつも一緒にいるが興味無さそうにスマホを弄って傍観している男。
1番見られたくない仲間の1人に見られてしまった。
若杉がいるってことは·····と勘が過ぎった葵は他の二人が周りにいないか辺りを見渡した。
しかし他の2人の様子は見当たらず、若杉だけのようだった。
「そいつが例の亨くん?」
若杉だけだったからと言って安心はできず、葵は若杉の返答を返さずに俯いた。
「あれマジだったんだ。凌がからかってやったのに実ったんだ。すごいね。」
「違う·····。亨くんはただの友達だから·····。」
若杉は亨の方に目線を写すと鼻で笑った。
「そいつ教師と付き合ってるって知ってる?」
以前、廊下ですれ違った男子生徒がそんなような話をしていたのを思い出した。
養護教諭の西田と付き合っているのではないかと。
若杉も知っているということは亨の噂は全校生徒に広まっているのだろうか。
だとしても葵の中では気持ちは変わらない·····。
「噂で·····聞いたことはあります。もし亨くんが誰かと付き合っていたとしても亨くんは僕のことをそうゆう風には見てないと思うので···僕の好意は実ることはないです。ただ、同じ時間を過ごしてるだけで充分なので。」
「ふーん、凌んときもそうだったの?
ストーカーみたいに。」
次から次へと疑問符を投げかけれ、尋問をされているみたいで心地が悪い。
江藤の話になった途端、言葉に詰まってしまった。
ストーカーをしているつもりはなかった。ただ江藤のいつも側にいて遊んでいただけ·····。
今も第三者にはそう見えてしまっているのだろうか·····。
自分はどう思われても構わないが亨を巻き込みたくない·····。
「まぁ、いいや。」
「あ、亨くんは関係ないので江藤くんには·····」
「あんたの恋路なんて興味ないから。」
若杉はそういい残すとその場を去っていった。
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