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「紅輝はお盆の時だけ帰るんだよね」
「そう、部活もあるし。暇な時に連絡するから、遊ぼうな」
「うん。じゃあまたね」
「おう!」
紅輝に見送られて、俺は荷物を抱え寮を出た。
たったの4ヶ月しか経ってないのに、とても濃い4ヶ月だった。
藍野先輩のことを好きになって、
先輩の視線の先に俺はいないけれど、
でも、一緒にいてくれて、笑ってくれる。
それだけで、今の俺は幸せで。
藍野先輩の口から、菫玲先輩のことが好きだと聞いた訳じゃない。
でも、きっとそう。
いつか、俺のことを好きになってくれたらいいのにと思うのは、酷いこと?
菫玲先輩のことを忘れてほしいって思うのはいけないこと?
黒い感情がぐるぐるする。
「あーもう!やめやめ!」
とにかく、夏休みでも会えるんだから楽しまないと。
そして俺は数日置きに先輩に地元の写真を送った。
『楽しそうでいいね』
『綺麗だね』
『見たことない、すごいね』
返事も毎回してくれた。
ある時、写真を送ったら、電話がかかって来た。
「えっ、で、電話!?…っもしもし!?」
『ふはっ、慌ててるね?』
電話越しに先輩が笑う。
「び、びっくりして…」
『メッセージで送っても良かったんだけど、電話の方が楽かなと思って』
「何がですか?」
『菱沼くん明後日空いてる?』
遊びの誘いだった。
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