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* Sweet.6 *
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上唇を舐める仕草にどきりとする。
すっかり息の上がってしまった夕里は、素直にこくん、と頷いた。
「舜が……キスしてくれるなら、いい……」
そう言うと茅野はしたり顔から難しい表情に変わったので、夕里は不安そうに目を泳がせた。
今日初めて名前を呼んだときは手応えがあったのに、今度は空回ったようだ。
急に甘えられて何か勘繰っているのだとしたら、少し悲しい。
そういう雰囲気に浸るにはまだ場数を踏んでいなくて、いつもはついつい突っ張ねてしまう。
──俺だって……恋人らしくしたいし……?
反応の薄かった茅野は、視線をずらしながらぼそっと呟く。
「そんな可愛いこと言われると、襲いたくなる」
「お、おそう……!?」
猟奇的な意味かと思い込み、夕里は一気に距離を取って両手を構えた。
よくよく考えてみて「あれ……違うよな?」と心の中で自問する。
表情の移り変わりを見て、夕里の心中を理解した茅野は、ほっとした顔で笑った。
「夕里、無自覚に誘ってくるからドキドキする。俺が今すぐその気にならないように、そうやって自衛してて」
──その気にさせても、よかったんだけどな。
再び作業に戻る茅野の背中に、べーっと舌を出した。
今の自分の顔を鏡に映してみたら、きっと子憎たらしい顔をしているに違いない。
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