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「おーーーい!!!こう!!!!」
「声でけーし、うるせぇ」
「もぅ冷たいなぁ、こうちゃんは!」
俺の耳元で叫んでるこいつは俺の幼馴染の秋。
さらさらの茶髪に両耳の耳たぶに黒いピアスが1つずつ、俺とお揃いで買ったものだ。
喧嘩をよくする癖に人懐っこく周りから好かれやすい
俺と正反対の幼馴染だ。
「で、なんの用」
「いやぁ、それがね?体操服を忘れまして、借りたいなぁって!」
「…はぁ…いいけど、勝手にとってけよ」
「まじ!?さんきゅ!!!」
じゃーな!とぶんぶんと手を振りながら嵐のように去っていく秋に、はよいけと睨みつける。
秋は俺の家によく入り浸る、いや、ほぼ毎日だ。
家族同然に大切なやつ。
馬鹿そうに見えるけど、面倒みはいいし意外としっかりしている。
守りたい、守らなきゃいけない、大切な人の1人だ。
「おい、佐澤。」
顔をあげると世界史の教科担任、伊藤が目の前に立っていた。
「この前の小テスト、なんだこれは。」
はっきり言ってこいつのことは嫌いだ。
俺の事をそういう目で見てるのがバレバレで、
ほら、現に今も俺を舐めるように上から下までじっくりと見ている。
気色悪りぃ…。
この前の小テストは名前だけ書いて白紙で提出した。
授業に出てないからというのもあるが、
その日はもう1つのバイトがあり、夜寝れなかったから寝ていたのもある。
「今日の放課後、補習だ。社会準備室にこい。」
それだけ言ってあいつは教卓の方へと歩いていった。
補習に行かなければ評価を落とされるし、他の先生に告げてバイトだって辞めさせられるかもしれない。
そうなれば咲に大変な思いをさせることになる。
それだけは、絶対嫌だ。
(最悪なことになったな…くそが…!)
俺の耳にはチャイムは一切届かず、
ただひたすら放課後が来ないことを祈った。
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