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はじまりの出会い3
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予鈴の音ではっと我に返る。
ホームルームが終わってまだそれほど経っていないはずだが、気付けば教室からはほとんど人がいなくなっていた。
えっと、一時間目は確か……化学だ!
貰ったばかりの時間割表を慌てて取り出して確認する。
どうやらみんなすでに教室に移動してしまったらしい。
でも転入したばかりの俺はどこに行けばいいのか分からない。……どうしよう。
「えーと……」
教室に残っているのは俺と、隣の席の馬渕と、それから数人のクラスメイトだけ。
あっそうだ!これを機に話しかけて友達になればいいのか!
そう考えて俺は意気揚々とクラスメイトに近付こうとする。
……だが、何やら様子がおかしい。
ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべている一人の男が、おもむろに馬渕の席に近付いてきた。
馬渕はきょとんとしてその男を見上げる。
「まあーぶち、くん。アレ持ってきたあ?」
「え、ひぇ……あ、あれえ……?」
「オイオイ、しらばっくれんなよ。持ってこいって言ったよな?」
「え、へえ……?なに、が」
言葉尻を奪うように、ガン!と大きな音を立てて男は馬渕の机の足を蹴る。
何も分かっていないらしい馬渕がへらへらと笑うと、舌打ちをしてさらにその襟首を掴み上げた。
「笑ってんじゃねーーーよ、キ○ガイ野郎。アレだアレ、早く出せボケ」
さて、その隣に座っている俺はと言えば。
硬直したまま、唖然としてその光景を見守ることしか出来なかった。
こ、これって、まさか……イジメ、ってやつ?
状況を見ればそうとしか思えない。
俺がいることに気付いていないのか、数人の男たちは馬渕を囲んであれこれと耳を塞ぎたくなるような酷い言葉を吐いていた。
「マジでお前気持ち悪いよな。うえっ、馬渕菌ついた」
「お前みたいなやつとトモダチになってやってんだから、言うこと聞くのが当たり前だよなあ?」
「オラ早く出せって!殴られてえのか?」
馬渕はそれでもなお困ったように呻くばかりだ。
と、痺れを切らした一人の男が襟を掴んだまま、もう片方の手で馬渕の頭をゴツ、と軽く殴った。
びくんと馬渕の身体が跳ねる。
「ひっ!……い、いてえ……」
「痛えか?ならさっさと出しな」
「う……わ、わか、った……」
見ているだけで情けなくなる光景だった。
馬渕を囲んで金を巻き上げようとしているクラスメイトたちにも、それを黙って見ているだけの自分にも、全部腹が立つ。
怖いけど、でもこのまま見て見ぬふりはできない。
俺はすう、と息を吸った……そして。
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