アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
那須田の過去
-
16年も前の話。
ギャンブルにのめり込み、酒に溺れ、多額の借金をした両親に、私は売られた。
15歳の時、黒羽家に買われた。
βであり男なので、価値は低かった。
Ωの方が余程、価値は高い。
性的サービスに向いているからだ。
屈強ではない上に運動音痴の私の唯一の利点は、孕まないコトだけだった。
黒羽家は、表向きは大手の製薬会社だ。
でも裏では、人体実験、人身売買…、終いには、人を殺すことにも、何の躊躇いもない奴らが集まっていると噂されていた。
買われて半年ほどで、私は身体の隅々まで開発された。
私の仕事は、指示された家に赴き、身の回りの世話をする仕事だった。
そこには、性的サービスも含まれていた。
……本来の目的が、αの精液を採取するコトだった。
特殊なゴムを着け、セックスをしてもらう。
αの精液は、高値で売買されていた。
βやΩの精液は、受精率が低い。
それに比べ、αの精液は、受精率が異常に高い。
さらに、αの血を入れれば、子供がαになる確率も上がるため、αの精液は、重宝されている。
αの女性の相手をすることもあった。
もちろん、私が抱かれる側だ。
仕事の期間は、1日だったり、1ヶ月だったり、まちまちだった。
臨床も、家事手伝いの仕事も、買われた人間もいれば、アルバイト感覚でやっている者もいた。
私のように買われた人間は、右の足首にアンクレットが嵌められた。
右の足首を確認すれば、自分の意思でここにいるのか、囚われているのかが判別できた。
銀色のシンプルなアンクレットだが、特殊な電磁波を当てないと外れない仕組みだった。
もちろん、鍵穴など存在せず、簡単には取り外せない。
それには、GPSや通信危機が埋め込まれていた。
逃げ出したとしても、直ぐに居場所は特定され、連れ戻されてしまう代物だ。
囚われた私は、簡単にはこの環境から抜け出せなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
177 / 224