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七話
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「えー?九条、それは恋だろ?」
「なんで俺の周りにはこんなやつしかいねぇんだ」
おれの名前は斎藤晃司(さいとうこうじ)、九条の一番の親友(暫定)である。昨日、体調が悪そうだった九条が心配だったのだけれど、朝、ケロリとした、だけど何か不機嫌そうな九条をみて首を傾げた。そして、事の経緯を聞いたのだ。九条・・・なんでおれに言ってくれなかったんだ!ていうかやっぱり・・・あの無関心な九条があんなに執着していたのはやはり、九条はその子に対して何かしらの気持ちを持っていたのか・・・そして、それは、恋だったのだ。これはおれと九条の幼馴染の葉桜ちゃんの情報によると九条の『初恋』である。おめでたい!そういや葉桜ちゃんも九条の初恋がはじまったって言ってたけど、初恋はもう三年も前からはじまっていたのだ!
「ニヤニヤすんな!斎藤・・・っ!恋じゃねぇから!恋では!!」
「必死に否定するのがあやしーんだよ」
まあ、恋かどうかは置いといて、あの九条がその子の前ではなすがまま、されるがままなのはとても面白いと思ってしまった。この唯我独尊なはずの九条の本性である案外優しくて、寂しがり屋なのをたった一日で、その子は暴いてしまったのか。これはぜひいつか話がしてみたい。友達のいい所をちゃんと見てくれる人が現れたのは親友としてとてもうれしかった。
「いやー、とりあえず恋かどうかはまあ、置いといてあげるよ。それで?今日のその不機嫌な様子は、その子の悲しそうな顔が、気になって、気に入らなくて嫌って話だよね」
「ああ、あいつが悲しそうな顔がしたのがむかつく、なんかみたくねぇ、ケーキ屋の時に見たような顔で笑わせたい」
それは恋だと思うけどなぁ・・・おれはすこし、遠い目になった。その子の悲しそうな顔が見たくなくて、自分の力で笑わせたいっていうのはもう既に恋なのでは?あいらぶゆーなのでは?鈍感だなぁ・・・この鈍感さのせいでおれはいろいろと大変な目にあっている。主に恋愛方面で。
「とりあえず、友達にはなったんだよね?」
「はあ?んなわけねぇだろ。あいつは友達なんかじゃねぇ」
九条の言葉は目を白黒させるた。先程、恋じゃないといっていたじゃないか。ってことはもう既に恋人なのか?あれ、混乱してきた。すると九条は、
「おれとあいつはそこそこ仲の悪い知り合いだろ?」
あかーん!全然自覚ない!!全然自覚ないやん!!そこまでいっといてそこそこ仲の悪い知り合いってなに?!バカじゃねぇの?本当にこういう方面ではポンコツ極めてんな・・・どうする晃司、どうするよ!?
「というかこれってまずくないか?・・・絶対、その子、嫌われてるって勘違いしてるよ?」
「・・・俺の中でも嫌いかどうか今わかんなくなってるんだよ!!」
「逆ギレすんなし!!嫌われてるとして!それはどう思うの!!」
「・・・・・・・・・・・・別にいい」
「その間はなに?!本当は嫌なんでしょ?嫌われたくないじゃないの?!」
「嫌われたくねぇ」
「そこは即答なのね!」
ああ、めんどくせぇ!!
こいつめんどくせぇぇ!!好きって認めちゃいなよ!!おれが楽になるから!!
「わかった、とりあえず、その鈍感どうにかしようか?」
「は?」
「おれ一人じゃ無理だ・・・放課後、放課後まで待って!」
「おう?」
ほんとこのイケメンムカつく、首を傾げた姿も様になるとか本当にムカつくわ。
そう思いながら、おれはスマホの連絡アプリのトークルームを開いた。
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