アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
こんな俺でも恋がしたい
-
恋人いない歴=年齢。
高2なら別に問題なかろう?
そう思っているけれど、友達に恋人ができると焦る。
一人や二人ならまだね?全然いいんですよ。
それが三人四人となると話は別だ。
…彼女欲しい!!!
心の叫びだった。
友達が休み明けのたびにどこに行ってきたとか、
彼女とお揃いのものがどうとか、
もう心が研磨されていくっつの。
何でみんなそんなに恋人とかできちゃうの?
俺の何がいけないの?
いい人止まりって何、悪い人がいいの?
どうしたらいいのよ本当にさ。
「自分の得意なことでアピールすればいいじゃん」
イチゴ・オレのストローを噛みしめながら、森光が俺を指さした。
正確には俺の食ってるおにぎりを。
「何々…今日は炒飯おにぎりにチンジャオロースに…シュウマイと春雨サラダ、か」
「中華弁当、美味そー」
「弁当男子ってポイント高いんじゃないですか?」
「ちょっ、食うな馬鹿野郎!」
囲む友達から弁当を死守している俺は弁当男子とか言われてるからわかるかもしれないが、料理が得意である。
片親で家事ができるのが俺しかいないからっていう単純な理由で、料理だけじゃなく家事全般は一応できる。
必要に迫られてのことであり、趣味とかではない。
だから流行りの弁当男子でもなきゃ主夫志望でもない、ここ重要。
「でもさーここまで美味いモン作れるとか、彼女になったらプレッシャーなんでね?」
「逆ですよ、今は男が家庭的なほうが上手くいくって聞きますし」
「何それ、帰ったら真智がご飯作って待ってるの?やばいそんな家庭即帰宅」
「キモイんですけど妄想男子」
ごちゃごちゃ言ってる友達三人はクラスメイトのチャラ男森光と二次オタ丹下、そして幼馴染の妄想癖村地彰嗣である。
森光はチャラくてモテるので女に不自由などするわけもない。
丹下はオタクでパソコン開けば嫁に会えるのでどんなに女子に言い寄られても断固拒否してる。
彰嗣は脳内に恋人がいるけどなかなか男前だから女子がほっとかない。
くそ、イケメン滅びろ。
「真智さ、好きな奴とかいねーの?」
「…いない」
「え、俺は真智が好きだけど」
「村地氏、どさくさに紛れて告白しないでください…森へ帰れこの妄想DQN」
好きな奴…
そりゃあ可愛いなーとかいいなーとか思うことはいつもある。
初恋は幼稚園の先生という王道も経験している。
小学校の時隣の席だった絵理ちゃんが可愛いなっていつも思ってた。
でも絵理ちゃんは彰嗣が好きで俺なんて彰嗣のおまけだった。
思えば昔から好きな子は彰嗣が好きだった。
俺の障害はこいつだったのか…
忌々しく睨みつければちょっと照れたようにはにかむ、気持ち悪い。
「なぁ真智、」
「あ?」
「お前、愛されキャラ目指せばいいんじゃね?」
「…はぁ?」
ぺしゃんこになったイチゴ・オレのパックを彰嗣に投げつけながら、森光はそんなことを言う。
いまいち意味の分からない俺はシュウマイを頬袋に詰めたまま聞き返した。
「頬袋にいっぱい詰め込んで…可愛いッ!!」
彰嗣悶えるなウザい。
脛を蹴りつけたら黙った(悶えてはいるが黙ったからよし)
「ほら、自分からアピールするほど好きな奴はいないんだろ?だったら自分を好きになってくれる奴を作ってそこから選びゃいいじゃん」
チャラ男・森光の言うことにゃ、別に自分から好きな奴を作る必要なはい。
向こうから求めさせればいいのだ、と。
お前はナンバーワンホストか何かか。
さも当然という感じで言う森光に呆れる俺たち。
「あざといですな、森光氏。でなければギャルゲーです、二次元です」
「さすがミツ様、うちのナンバーワン!」
「はぁ?普通だろ、モテたいなら自分の武器で惚れさせるなんて常識だろ」
「常識じゃねぇよ自分の武器って何だよ惚れさせるとかどんだけだよどんだけ自信あるんだよどうせただしイケメンに限るとかタグ付くんだろ」
「荒れるな丹下、息継ぎと口調忘れてる」
キャラ設定に余念がない丹下が我を忘れている。
つかお前三次元興味ないじゃん、どうしたどうした。
そんなに森光のリアルギャルゲーみたいな発言に腹が立ったのか。
言うてもお前もイケメンだからな、無自覚め。
「とにかくさ、物は試しってことで…やってみれば?」
やらないよりましだろ?
指さして首を傾げるその姿。
窓から差し込む日差しがその明るい髪を光らせて、森光をきらめかせている。
何だこれ、イケメンは自分をイケメンに見せる方法を熟知してるのか。
女子が黄色い声あげてる、振り返ればうっとりと森光を見てる。
俺へのアドバイスをしているはずなのに自分がモテてどうすんの。
腹立つわ、森光。
「大丈夫、俺たちも手伝うって」
ニコッと笑う森光の顔。
その隣で無表情な丹下。
ちょっと不機嫌そうな彰嗣。
こうして俺は何かわかんないけど愛されキャラを目指すことになりました。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 41