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◇◇◇
――ただ、どこかに行きたかった。
何かになりたかった。
何処にも行けなさすぎて友達に相談した。
体質についてを本書こうということにもなった。生活がギリギリの中、それでも空想に逃げ込むことができるだけ、多少マシだった。
ある日。
部屋からあまり出られなかった俺より先に、友人は壊れた。
理由がわからないでいたその翌月、別の作者の名で出されたタイトルが、新聞に載っていた。
唯一の財産だった身体さえ誰かのものだった。
残ったのは、わずかな理性と、友人の悲しい笑顔。
そして死にきれなかった自分。
何を訴えようとも、特に意味は無かったし「知らない、わからない」と言った返答しかなかった。
盗作の真相をばらされないように、と今でもばれたら困るやつらに後を追われていて、変な話をでっちあげられたり、罵倒されたりするときもある。
『逃がしてあげられなくて、ごめんね』
逃げられなくてごめん。
紙面や雑誌に載ってた人が、綺麗な言葉を吐いて、裏側では俺たちの中の大事な何かを殺しにかかった。
◇◇
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