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「お邪魔します」
おざなりの言葉を告げ、由良は正されるまま瀧澤家へ上がった。
洋館の豪華なホテルのような屋敷は瀧澤のイメージ通りで由良は別に驚く事はなかった。
音楽一家で有名な瀧澤が金持ちな事はこの業界の者なら誰もが知っているからだ。
自分の前を歩く瀧澤の後ろを由良は無言で付いて行った。
逃げられそうにないなら、瀧澤の意思に沿って用事を済ませた方が早く家へ帰られると思ったからだ。
「入って」
通されたのはリビングではなく、階段を上がった瀧澤の自室だった。
グレーを基調とした落ち着いたシックな部屋は落ち着いていた。
馬鹿広い部屋には黒のグランドピアノが置かれている。
ソファへ座るよう視線で正され、由良はそっと浅く腰掛けた。
「何か飲む?」
小さな冷蔵庫を開けながら瀧澤が聞いてくるのを由良は首を横へ振って答える。
それを見て、瀧澤は冷蔵庫の中から水の入ったペットボトルを取り出し、キャップを開けるとゴクゴク水を飲んだ。
「……で、何?」
一息ついたっぽい瀧澤に由良が聞く。
すると、瀧澤は静かに由良を見据えた。
静寂が続き、居心地の悪さを感じた由良は視線を泳がせるように圧倒的な存在感を放つグランドピアノを見つめた。
「これでいつも練習してるの?」
ピアノ専攻の瀧澤へ当たり障りない質問を投げかけると、瀧澤は小さな深呼吸をしてからピアノへ近付き、椅子へと座った。
一曲弾くのかと思いきや、瀧澤はピアノを指先で撫でるだけで黙り続けた。
一体、なんなんだよ……
拉致に近い行動で、こんな場所へ連れて来られた由良は不愉快な思いが募っていく。
「用事がないなら帰りたいんだけど」
ラチがあかないと、立ち上がった時、瀧澤が予想だにしなかった質問をしてきた。
「今まで付き合った人数は?」
なんの脈絡も無い想像外の質問に由良の頭の中が真っ白になった。
「……は?」
「相手は男なのか?経験は何度ある?」
真顔で追い込むように質問を重ねてくる瀧澤に由良は眉間に皺を寄せた。
「何それ?そんなくだらない事の為に僕のこと連れてきたわけ?アホらし……」
帰ると、踵を返して扉へ向かおうとした時、瀧澤は椅子から立ち上がり、早足で距離を縮めると、華奢な腕を捻り上げた。
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