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商品 1
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「おや、目が覚めましたか。おはようございます。気分の方はどうですか?」
「······························」
「そうですか。それは良かったです」
檻を挟んだ向こう側から無機質な声が耳に届く。
また戻ってきた。
牢屋のような冷たい部屋。
手首に巻き付けられた商品ナンバー。
両隣の部屋から聞こえる泣き叫ぶ子供の声。
悲鳴のようなものから喘ぎ声まで、何十人もの声が響いている。
「出血が酷かったので輸血をしておきました」
誰から取った血なのだろう。
その子の血は、足りなくなったりしていないのかな。
「まあもう毎回のことなのでお気づきでしょうが、貴方を買った方から返却されたのでしばらくはまたここで過ごしてください」
返却。
これでもう8度目だ。
今回は半年くらい飼われていただろうか。
どんな顔の人だったかよく思い出せないけれど。
「返却理由は“反応がなくて飽きた”だそうですよ。これも毎回のことですね」
反応がない、つまらない、何度買われても毎回同じ理由で返却される。
返却されてもされなくても同じ。
飼い主が、変わるだけ。
「それでは、次の買い手が見つかるまで楽にしていてください」
小さく頷くと、スーツを着た眼鏡の男、サクマさんは視界からいなくなった。
ゆっくり目を閉じると、何も見えなくなって、床の冷たさが少し増した気がした。
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