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帰る場所 21
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飛び降りるように走り出したせいで椅子が後ろで倒れたけれど、そんな事気にする余裕もなく2人に駆け寄って勢いよく振り落とされるナイフをグッと掴んで止めた。
刃で手のひらが切れて血が溢れる。
「な……ッ、バカ!」
いつも笑っているマシロさんの初めて見る焦った顔に少し驚く。
初めて見る表情のはずなのに、何度も見たことがあるような気がして不思議だった。
「シロ?何をしてるのかな?手を離しなさい」
ほら、と言うことを聞かない子供を宥めるような口調で言われて反射的に離しそうになった手をまたぎゅっと握る。
ドクドクと鈍い痛みが手のひらから全身に伝わるのを感じながら頭を横に振った。
「ぃ…いや、だ………」
離したくない。離さない。
そう答えた俺にマシロさんは一瞬目を丸くして、もう、と困ったように笑った。
ハラセさんがため息をついて体を起こそうとした瞬間、その体がくらっとよろめいて床に手をついた。
ナイフからも手が離れ、顔を覆って頭を振っている。
急に何が起こったのかわからなかったけれど、この隙にナイフを持ってハラセさんから離れる。血でナイフが滑ってカランと床に落ちた。
「あ、やっと効き始めた?」
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