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作り物の星空。
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ベッド上のスペースに置き手紙がある。
『仕事に行ってくる。今日もいい子にしていてね、フジ。いい子にしていたらご褒美を今日もたくさんやるから』
たくさんやる。そこにうっしーらしさを感じて、笑みがこぼれるけど。
本来ならば、笑っていい状況じゃない。
だって俺は、ここに5年ほどずっと____
監禁されているのだから。
いそいそと服を着て、キッチンに目をやる。
(飯でも食うか……)
ぽつんと設置されているキッチンスペースと、冷蔵庫。
そこの中から、作り置きされているマッシュポテトを取り出した。
俺の大好きな、うっしーが作ってくれた料理。
パックから取り出し、皿に盛って口に運ぶ。
「 …腰、痛ってぇぁもう…… 」
うっしーにはもう少し俺を大切にして欲しい。
ふと、音がないのが寂しくなってテレビを付ける。
携帯を持っていない__正確にはここへ来た頃捨てられた、が正しいのだが__。
為、今が何月の何日で、何時であるかはテレビを見て確認していた。
8月の31日。昼12時30分。
…うっしーと出会ったのも、8月の終わり頃だったな。
ピーンポーン。
何年かぶりに聞いた、電子音。
この家はインターホンが壊れているから音がしねぇんだ__そううっしーから聞いていたのだけど。
何事か、どうしていいのか分からなくておろおろ、おどおどどしているだけの自分が情けなかった。
しばらくして、足音が遠くへ闊歩していくのが耳で確認出来た。
窓すらないこの“箱”から俺は5年間、出たこともなければ外を見た事もこの5年全く無いのだ。
でも、俺がそれを望んでいたのだ。最初から。
マッシュポテトの最後の一口を口へと運ぶ。
使い終わった皿をシンクに置き、再び俺はベッドに倒れ込む。
俺の体と意識は、白いシーツに吸い込まれていった。
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「 フジ、起きて……帰ってきたから、ほら 」
ベッドで眠っている、俺の愛しくて美しいひと__フジの背中を優しく叩き起す。
「 ん……うっ、しー… 」
もう、彼をここに閉じ込めてしまってから5年程だろうか。
俺がスーツを脱ぎ、リラックスできる格好に服装を変えた頃には、フジは目を覚ましていた。
「 あ…おかえりなさい…… 」
「 おう。もう19時だぞ 」
「 今日は定時なんだね 」
「 お前の顔が早く見たかったからな 」
俺と、彼を養ってやるだけの財力は無限ではない。だから、俺が働かなきゃ__。
まぁ、職自体はとても自分に合っていて楽しいものなのだが。
ふと、とあるものをお土産に買ってきていたのを思い出す。
「 あれ、うっしーその紙袋なに? 」
「 気付いた?……少し、目つぶって 」
俺は球体のそれを手に取り、部屋の電気を消す。
そしてスイッチを入れれば、壁に星空が投影される__。
「 いいよ、開けて 」
「 ……わぁ…!!! 」
きらきらと、無限に広がっていそうな星々。
「 すごい……星空なんて、見たの…何年ぶりだろう、うっしーすごいよ 」
「 おう。…喜んでもらえたみたいで良かったわ 」
嬉々とした分かりやすい表情から読み取るに、彼は本当に、純粋で__素直で、可愛いやつだ。
「 ………ありがとう、うっしー、だいすき… 」
えへへと笑うフジが、とても愛おしくて。
雰囲気がばっちり過ぎたから、それに流されたとでも言っておこう。
作り物の星空の中、唇を重ねた。
「 ん……んっ… 」
舌と舌が絡み合う、いきなり濃厚なキス。
「 っはー……まって、きつい…息 」
「 キツイのは下もでしょ 」
美しい星空の下、全くもって美しくない不貞な行為をしているけど。
それがまた、二人の興奮を煽る。
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毎回のようにRシーン入ると思うので苦手な方は読まない方が…自衛よろしくお願いします…ね…
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