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* Scent.2 *
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涼風の後ろ姿を見送った後、立花はふう、と息を逃がす。
立花の辿々しい接客を後ろで見守っていた内田達は、「すっごく格好よかったわねぇ」と口々に言い合っている。
「包海さんやっぱり仲いいじゃないっ。もうあんなに手懐けて!」
「て、手懐けるって……」
毎日足を運んでくれているお客に対して、ちょっと不躾な言い方だ。
涼風が思いの外長居したおかげなのか、立花を除く女性陣は浮き足立っているようだ。
「可愛い系の真白君に、綺麗系の包海さんでしょ。そこに格好いい系の眼鏡男子が来てくれるなんて……いい職場ねぇ」
愛くるしい二葉を猫可愛がりしていたが、今のブームは最近ふらりとやって来た涼風らしい。
毎日昼過ぎくらいの時間に会う以外では、構内や行き帰りの電車で見かけることはない。
仕事上でしか会えないから、きっと会話も捗らないだけだ。
プライベートでばったり会ったら、立花だって二葉のようにもっと明るく出来るかもしれない。
──何で、涼風さんとはもっと仲良くなりたい、って思うんだろう。
あんなに大嫌いだったアルファなのに。
彼といる時間は楽しくて、自分が不幸で一人ぼっちのオメガだという事実を忘れられるのだ。
溢れた多幸感に頬と耳あたりがかっと熱くなって、ふと首筋に手のひらを宛がう。
立花の性を縛る首輪は変わらずに確かにそこにあった。
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