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* Scent.4 *
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『体調は大丈夫ですか? 心配なので既読だけでもつけてください』
そんなメッセージが泣いている絵文字とともに届いていた。
あの一件から日にちの感覚がまるでなかった。
別に生きていないようなものだから、今さらどうだっていいが。
──涼風さんに全部聞いたのだろうか。
一抹の不安が胸の中に巣食って、暗い思考が頭から離れない。
アルバイトを休んでいる間に、涼風がもうすでに自らの保身のために、周辺の人達にあの件について触れ回っているかもしれない。
そうだとしても涼風を恨まない。
二葉と顔を合わせても、お前のせいで、なんて嫌な気持ちにもきっとならない。
自分の危機管理の甘さが招いた結果だ。
それに、2人がかりで不本意に犯されるよりは、1人でよかったとも思える。
自分自身でも腑に落ちる箇所がずれているとは薄々感じているが、別にそのことで日常生活でぼろを出したりはしていない。
その心根のおかげで、本当は脆い自分を守っているのだから。
だって、そうでもしないと、手首でも切って今の現実から逃げてしまいたくなるから。
「大丈夫です。心配をかけました。午後は涼風さんのところへ行ってからそちらに行きます」
……────。
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