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32 路地裏の出会い4
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お昼になってから蒼は外に出る。
もう星音堂の周りの木は紅葉している。
冬なんだなあ……。
そんなことを思いつつ、携帯を掛ける。
関口は起きただろうか?
今日は柴田の家に行かなければって言っていたけど……。
何度もコールが鳴って、やっと電話口に関口の気配がする。
しかし、返答はない。
「関口?大丈夫??起きてよ!!」
もぞもぞ衣擦れの音だけが響く。
「関口ってば!」
『あ、』
「起きた?」
『蒼~!!あんまり大きな声出さないで』
「頭痛いの~??」
思わず苦笑。
『今日も行って来るから』
不意に関口が呟く。
本当は行きたくない気持ち満々だが……柴田に紹介されたのだ。
そうそうは断れない。
とりあえず、しばらく通って見切りを着けるしかないだろう。
「そっか。今晩からは夜遅くなるんだね」
『そうなるな。悪いな。蒼も忙しいのに』
「いいって!それより関口の身体が心配だよ。無理はしないでね」
『うん。ありがとうね。蒼』
「ううん」
関口。
関口。
携帯を切ってからも彼のことを考えている。
「……」
自分はどうなってしまったんだろう。
関口がいなくなったら生きていけない。
そう感じた。
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